本題
消費税が複雑になったわけ
消費税は平成元年から3%からスタートしました。
それから税率が5%になり、8%、10%と上げっていき、消費者にとっても事業者にとっても影響力の大きな税金となってきました。
しかし、消費税制度には様々な欠陥がありました。
それは、税金が返ってくるいわゆる還付の性質を持っていることに起因しています。
例えば、高級車を550万円で購入したとします。
しかし、その年の売上は0円でした。
この場合、消費税の計算を行うと、高級車の購入金額のうち50万円が消費税となり、これは、支払っているため、事業者に返ってくることになります。
これは、法人税や所得税では基本的にあり得ないことです。
ただ、違法ではありません。
消費税法というルールにしたがってのことなので、問題がないわけです。
不動産業者への対応
しかし、税金を節税したい人がいても、税金を多く払いたいという人は少ないと思います。
さらに、スキーム(手法)と言って、法律を利用して自分もしくはクライアントが有利になるように行動する人というのがいつの時代も登場します。
そこで、大きな問題となったのが、不動産業者です。
その中でも、事務所用不動産ではなく、マンションなどの住宅用不動産を取る扱う業者について、この消費税の還付が横行したため、消費税の法律を改正することで、国税庁が取締に乗り出したという経緯があります。
ここら辺は、ややこしいので説明は割愛しますが、平成22年改正(自動販売機スキームへの対応)と令和2年改正(金売買スキームへの対応)で封じ込めを図っています。
95%ルール
さて、このような経緯があってルールがややこしくなってきたのですが、実際に売上が0円の時に経費などの支払いから消費税の還付を受けることができるかどうかというのは、上記の改正とは関係のない取り扱いによるものになります。
それが、95%ルールというものです。
これも、ややこしい話なのですが、95%というのは売上の種類の話で、売上をAとBに分けた場合は、A /A+Bで計算した割合が95%未満の場合、経費の10%を全額控除するという単純計算ではなくなるというルールです。
そして、この次に、経費をAとBとCという3つに分類します。
で、Cに分類された経費に、上記のA /A+Bの割合を乗じて計算した金額しか還付されなくなるため、売り上げが0円の場合は、結果、Cに分類された経費しかない場合、還付されなくなるため、ここら辺が、売上0円だと還付を受けれないのかという誤解の原因になっています。
売上0円でも還付は可能
結果として、売上0円でも還付できるかどうかはその事業年度の経費にAに分類されるものがあるかどうかというのが鍵になります。
このようにややこしいところというのは、実務では、国税庁の通達をベースに考えることになります。
Aと分類されるかどうかで、判断に迷うのは、いわゆる販管費になります。
スマホなどの通信費しかり、コンサルフィーしかり、ガソリン代しかりになります。
通達の番号では、消費税基本通達11-2-16が参考になります。
ここには、AではなくCにはどのようなものが該当するのかが書かれていて、その具体例が株式発行の際の発行手数料がCになると書かれています。
いやいや、具体例がニッチ過ぎますっw
中小企業で、株式発行とか会社設立の時ぐらいしかしません。
これが、国の感覚ということです。
庶民の感覚とは随分ズレがあります。
要するに、資本取引に掛かる手数料はCになりますよと言っています。
そうなると、普段支払いが発生する費用については、Cには該当しないといえるかと考えることもできそうですね。
下にマニアックな文章を載せておきます。
消費税基本通達11-2-16
法第30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》に規定する課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは、原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのであるが、例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。
まとめ
プロ野球のビデオ判定しかり、どのような世界でもルールはどんどん改正されていきます。
特に消費税法の改正は、税法の中でも特に多いです。
改正にしっかり対応して、損をしないようにしたいものですね。
息子&娘(4歳9ヶ月&0歳9ヶ月)の成長日記
私が家に帰ると、娘が廊下のところで、ワオワオと言っていて、私を見つけると高速ハイハイで近づいてきます。
しっかり、手を洗ってから抱き上げてあげました。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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