租税判例百選第7版、新採用判例「ワールド•ファミリー事件」移転価格税制

今日も、前回に引き続き、租税判例百選第7版から新たに掲載された判例について紹介したいと思います。

その名は、ワールド•ファミリー事件になります。

東京地裁平成29年4月11日判決

著者 弁護士 藤枝純

「76独立企業間価格の意義(1)──ワールド・ファミリー事件」租税判例百選(第7版) (Japanese Edition) (p.611). Kindle 版.

著者の藤枝先生は、第6版にてアドビ事件を扱って判例評釈をされていた先生です。

第6版のアドビ事件も第7版のワールド•ファミリー事件も移転価格税制における独立企業間価格が問題になった判例ということで共通しています。

つまり、藤枝先生は、移転価格税制のプロフェッショナルとして税法の世界では認識されているのだと推測することができます。

まず、第7版において、藤枝先生が本判決を移転価格税制における独立企業間価格の算定において、本判決を採用した理由は、以下の文言に集約されているように思えます。

〈解説〉

1本判決の意義本判決は,再販売価格基準法に基づき独立企業間価格を算定して行った本件課税処分が,本件検証対象取引と本件各比較対象取引において使用される無形資産が大きく異なるために,比較可能性を欠き違法であるとして取り消された事案である。敗訴した国が控訴しなかったために確定している。移転価格税制の運用において無形資産の取扱いはますます重要となることから,今後も参照されるべき重要な判決である。

租税判例百選(第7版) (Japanese Edition) (p.614). Kindle 版.

税法の世界では、バンバンと類似判決が裁判で争われることは稀になります。

ただ、本判決については、移転価格税制における無形資産の取り扱いにおいて重要だという見解から第7版で本判決の評釈が採用されたのではないかと思われます。

では、本判決における無形資産とは何なのかですが、それはみんな大好きなディズニーになります。

何を隠そう、本判決は、ディズニー・キャラクターを用いた幼児向け英語教材の国外取引において独立企業間価格が問題になった事件なのです。

なんとも話題性のある事件と言えます。

アドビ事件についても有名な企業でしたが、ディズニーはさらに知名度が高いでしょう。

なので、今回の事件における争点は、独立企業間価格を決めるにあたってディズニーの無形資産の価値が問題になったということだと思います。

ちなみに、タイトルになっているワールド•ファミリーというのは、このディズニー・キャラクターを用いた幼児向け英語教材を提供しているクラブの名前だそうです。

ワールド•ファミリーについてはこちら

この裁判の結果は、納税者勝訴になります。

アドビ事件についても、納税者が勝訴していました。

この分野においては、国が負けるケースが続いているようです。

だから、弁護士の方が評釈を書いていらっしゃる?

と勘繰るのは私だけでしょうか。

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