【書評】税理士賠償保険はどんな時に必要なのか

税理士損害賠償の防ぎ方

この本は弁護士で税理士の谷原誠先生という方が書かれています

 

弁護士で税理士とはどういうことかというと 弁護士というのは基本的に法律全般を扱う専門資格になります

 

なので税法についても税理士会に登録さえすれば税務業務をする権利を持っています

 

ただ 権利と言ってもバリバリ会計事務所で働いている弁護士という方は非常に稀でしょう

 

私も業界で7年働いてきましたが そういう弁護士の方には会ったことはありません

 

この本の冒頭では税理士が損害賠償請求を受けやすい理由というのがわかりやすく記載されています

 

少し この本の言葉を借りて言うと税理士の仕事というのは 損害賠償金額は見積もりしやすいから訴えられやすいということを端的に書かれています

 

例えば 他人を殴ってけがをさせた場合その損害はいくらかというのは精神的な慰謝料などを含まれ一応の相場あるにしても一時的に決まりづらいのに対して 金額の見積もりがしやすい税務賠償については訴えられやすいという事です

 

税理士の仕事というのは この訴えられる金額は正しく申告をしていれば少ない税金で済んだ場合のその差額や届出を失念していて届出をしていれば受けられたはずの税額控除など金額でとても明確です

 

さらに本書では 税理士が納税者から訴えられた裁判事例が約20件ほど載せられていて端的にわかりやすくまとめられています

 

 税法が得意な弁護士の先生というのは稀ですので とても貴重な本だと思います

 

保険がおりないケース

本書では免責事項と言って損害賠償を受けたとしても保険金が支払われない場合というのが載せられています

 

例えば 過少申告加算税や無申告加算税などの罰金に関しては免責で支払えないというケースになるようです

 

後は税理士が犯罪行為などの不誠実な行為をした場合は免責となるケースが多いと書かれています

 

保険会社によっても免責の内容は様々だと思いますが 一概には言えませんが本書では14つの項目について免責事項のある場合が多いと書かれています

 

この14個の内容を確認すると 税理士が申告をした後に税務調査が入って経費の過大計上や売上の期ズレなどでクライアントが多めに税金を支払うことになった場合のその税金について損害賠償を受けた場合については免責となるケースが多いと思われます

 

不誠実な行為での免責というのは致し方ないと思いますが 保険が必要になりそうな税理士のミスに対して保険が降りないというのが実態ということがわかります

 

保険がおりるケース

ではどういう場合に保険がおりるのでしょうか 

 

本書では日税連保険サービス作成の税理士職業賠償責任保険事件事例の過去2016年7月1日から2017年6月30日までに支払われた事例の一部を抜粋して掲載されています

 

一つは消費税課税事業者選択届出書の失念により納税が発生してしまったケース

 

もう一つは消費税の個別一括の選択誤りにより税額が生じてしまったケース 

 

これらを含めて11の事例が本当には記載されています

 

本書ではこのようなヒューマンエラーの発生しやすい事例において支払われてる場合が多いと書かれています

 

私が思うところ 何らかの税理士の過失で発生してしまった損害賠償請求に対して その理由が明確な過失であれば保険金が支払われるケースがあると考えられます

 

また 本書では税理士業務でない経営コンサルティング業務などは含まれないと規定されている通り賠償保険の対象になるのは基本的には顧問契約などの税務相談や税務申告に関する損害賠償について対象なるようです

 

免責について

最近 ココナラで税理士相談を30分5000円とかそういう単価でやれている先生をお見かけしますがその時に時間がなく答えることができなかった内容に関した免責でお願いします という内容の文言を見かけました

 

私はこの表現に凄く違和感を覚えました

 

その違和感とは免責などできるのかという違和感です

 

例えば 30分の相談を受けた時にその相談内容が複雑で解決に至らなく中途半端にお伝えしたとします

 

そして その中途半端な情報をもとにお客さんが申告をした結果 税務調査が入り多めに納税をすることになった場合 その税理士の指導に関しては免責にならないのではないかと思います

 

保険のように明確に契約書があり 契約内容が明確でどのような場合に免責になるのか明記しない限り免責にならないと思います

 

税理士の善管注意義務というのは広範な範囲として判断されますし 私たちの業務で免責は簡単には適用されないと思います

 

たとえ免責と言っていたとしても 法的には全く効果がない可能性が大きいです

 

まとめ

税務賠償保険に入るかどうかというのは 税理士を開業してから一度は悩むことではないでしょうか

 

ただなんとなく入るのではなく しっかり内容の精査をして本当に必要かどうか見極めて入る必要があると思います

 

本書では 損害賠償を請求されないためには契約書を巻く重要性であったり記録を残したり書面添付制度の活用などを勧められています

 

税務に詳しい弁護士の方の書かれた本なので大変参考になります

 

編集後記

先日の同業者との飲み会で 開業した人で損害賠償一千万円の保険にとりあえず入ったという方の話を聞いて今回のブログの記事の記載を書こうと思いました

 

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