【書評】融資における事業性評価のアプローチについて第一章から読める本

こんにちは!

 

みつばち会計事務所の丸山です。

 

今日は、運命の本に出会ってしまったかもしれません。

 

最近は手当たり次第融資の本を読んでいますが、事業性評価のアプローチについてとても具体的に分かりやすく解説されていました。

書籍紹介

相馬裕晃(2017)『事業性評価実践講座―銀行員のためのMQ会計×TOC』(株)中央経済社

まず読みたい項目

本著の特徴はMQ会計を使った事業生評価のアプローチになっている。

 

そのため、MQ会計の全体像を大まかに把握するために以下のページから確認したい。

 

付録 MQ会計の全体像(p.225)

MQ会計とはP(売価)V(変動原価)M(付加価値)Q(販売数量)F(固定費)G(経常利益)Z(期末在庫)という概念を使って管理会計の考え方をベースに経営改善を行うための会計手法となっている。

 

なおMQ会計は、商標登録されているため、MQ会計の名前を使って商品販売をすることは禁止されています。

 

すぐ隣のページ「第四章まとめ」(p.224)

筆者は、正攻法の売上アップ、コストダウンという思考停止パターンにハマってしまっている企業が非常に多いと指摘している。

 

確かにこれには心当たりがあり、自分もクライアントに試算表の説明をする際に結局はこう言った内容の指摘に終始してしまっていると感じる部分はある。

 

MQ会計とは、こう言った旧来当たり前となっていた試算表の見方からの脱却を提案することのできる手法だと感じました。

 

同時に、MQ会計が融資の事業性評価が目指す企業の将来性の評価をするための第一歩になると感じました。

 

はじめに戻って目次通り読み進める

第1章 激変する地銀を取り巻く環境

キャッチーなタイトルで中小企業の融資を考える上で重要な地銀を取り巻く環境から説明されています。

 

以下、特に重要だと思ったページを抜粋して紹介します。

 

後、本著は至る所に図表を使った説明がされていました。

 

これは本文中にも記載されていますが、著者が意識して挿入されています。

 

図表などで右脳のイメージを使うことで内容をより理解しやすくする効果があると説明されています。

 

1−3消滅可能都市から見えてくる未来(p.14〜)

本著は事業性融資というものを説明する上で今後高い確率で訪れるであろう少子化による人口減少に触れており、人口減少により銀行の取り巻く環境がますますマイナスに働くことを理論的に説明されています。

 

人口減少の予測グラフや消滅可能性都市と言ったワードとグラフを使って見た印象でも分かりやすい説明をされています。

 

1−5積極的な金融仲介機能の発揮(p.28〜)

いよいよ銀行マンが企業と銀行の仲介役として事業性評価をするために、どのようなところに注意していくべきかについて説明されている。

 

ここでも図表で情報が整理されていてとても分かりやすく説明されている。

 

例えば以下のような図表が紹介されています。

  • 財務データ、担保、保証への依存の留意点
  • 債権者区分の判定イメージ
  • 中小企業融資のポイント
  • ほか多数

 

また、2014年当時の森金融庁長官の産業協力会会議での発言も引用されており、従来のマニュアル重視の融資判断から事業性評価に移行する必要性について丁寧に説明されているので興味のある方はぜひ本著を購入してご購読ください。

 

2−1銀行員の目利き能力

目利き能力の体系(p.42)

ここでは、融資担当の銀行員が備えるべき目利き能力について体系図で分かりやすく説明されています。

 

ここでは、MQ会計は定量分析の収益性分析に分類されています。

 

サンプル会社のビジネスモデル俯瞰図(p.54)

ここではMG社と言うベアリングメーカーのサンプル会社を例に上げて仕入先情報や売上推移表などの情報を一目で確認できる俯瞰図が示されています。

 

クライアントのデータの整理などで活用すると銀行融資の際の準備として十分すぎる資料になると思います。

 

現場で使える金言の数々

本著を読み進めていくと、難しい情報を噛み砕いて分かり説明する配慮が随所に見られます。

 

その一部を紹介したいと思います。

 

規模の利益の説明(p.85)

MQ会計の導入により、管理会計的な視点を取り入れることで、製造業が商品を作れば作るほど固定費については変化がなくどんどん原価の単価が少なくなることを分かりやすい図を用いて説明されています。

 

在庫を増やすと利益が増える 全部原価計算の罠(p.86)

全部原価計算と言うのは、普段の決算書で使われている原価の計算方法になる。

 

その特徴は在庫が増えれば利益が増える点になる。

 

そこで本著では全部原価計算のことを「作ってなんぼ会計」と表現している。

 

しかし、在庫を増やすと当然、廃棄リスクなどは高くなるため利益を増やすため仕入れを増やす罠にハマってしまう危険性を指摘している。

 

利益は意見、キャッシュは事実(p.89)

これは黒字倒産になる原因についてキャッシュフローの重要性を表現した素晴らしい比喩的表現と言える。

 

売価と販売数量の変化が与える影響(p.102)

たまに、売上をあげる簡単の方法は単価をあげることと言われる。

 

言うは易し行うは難しであるが、その重要性を理論的に図を使って分かりやすく解説されている。

 

MQとFの関係(p.115)

MQと言うのは、付加価値のことになり、Fが固定費になる。

 

ここでは、月を31日に分けた日計表が示され、究極的には経営はMQとFだけを計測していればいいと言うことを理論的に説明されている。

 

まとめ

本著は事業性評価がなぜ必要になるのかを統計データに基づき、とても丁寧に説明されています。

 

なので、なぜ事業性評価が必要なんか、そこでなぜMQ会計なのかが読み進めて行けばいくほど腹落ちします。

 

いきなりMQ会計の話なら腹落ちしないところを第一節の『激変する地銀を取り巻く環境』でしっかりフックされ、そのまま第四章まで読めます。

 

銀行の融資担当者はもちろん、会計業務で銀行対応に強みを持ちたい方にもおすすめの一冊です。

 

図が多様されていて右脳でイメージしながら読めるのが良いんですね。

 

編集後記

良い本に出会うのは好きな娘ができた時の感覚に似ています。

 

読めば読むほど、思考が進み他の本も参考にしたくなりました。

 

息子(2歳)の成長日記

今日はクリスマス、チキンにケーキ、おやつにプレゼント、おじいちゃんとおばあちゃんも訪ねてくれて、大満足の1日になったようで終始ご機嫌でした。

 

一日一考

過去にいとこにあげた管理会計の本を無性に読みたくなったのですが、タイトルが思い出せませんでした。

なので、父親経由でおじさんに聞いてもらうことにしました。

なんやったかな。

もう7年ぐらい前の話なので。

 

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