しょぼい借入のコツ!?定性評価における市場動向と経営者・経営方針とは何か

 こんにちは!

 

みつばち会計事務所の丸山です。

 

会社が銀行の融資を受ける際に銀行があなたの会社の格付けをしているのはご存知でしょうか。

 

今日はそんな格付けの中身の話になります。

 

先日、今や売れっ子小説家となった池井戸潤さんの名著『会社の格付』を引用しながら解説していきたいと思います。

定量評価と定性評価

決算書を使った評価をされていることはなんとなく想像ができると思いますが、銀行は決算書には現れないところについても会社の評価をというのも行っています。

 

それが定性評価というものになります。

 

ちなみに決算書を使った評価を定量評価と言います。

 

よく、銀行借入を行う際に2期分の決算書を用意してくださいと言われます。

 

これは定量評価を行うために銀行が使用します。

それと並行して、融資担当者と面談をして融資担当者が稟議を書いて支店の決済を受けて融資が下りるわけです。

 

定性評価はいかにして行なわれるのか

定量評価は決算書をコンピューターに打ち込めば一瞬で評価がされるでしょうが、定性評価の場合はそうはいきません。

 

面談をした上で融資担当者の主観によってその評価が変わるところになります。

市場動向(定性評価10点)

市場にはライフステージがある。つまり、通信・マルチメディア関連の進展著しい業種がある一方、不況業種、衰退業種と呼ばれるものがある。

すべての業種が平等に将来性を有するわけではない。それをどう見極めるかは評価者である銀行次第である。

(参考)会社の格付p .152

市場動向とは要するに時代の流れの中で、会社が属している業界が今後伸びていく産業なのか、それとも伸び悩む産業なのかを判断して評価する指標になります。

 

『会社の格付』が発売されたのは今から約20年前になり、この時すでに融資担当者の判断の相違をなくすため、業種コードをベースに統一されていたとあります。

 

そう考えると、現在の情報社会ではかなり精密に評価する仕組みがあってもおかしくないと考えられますが、アフィリエイトや仮想通貨、YouTuberなど今までになかった業種も出てきているため機械的に判断できない部分は、もしかすると昔より多いのかもしれません。

 

経営者・経営方針(10点)

銀行は「社長にカネを貸す」といわれてきた。今回ベースにした格付制度でも、やはり経営者資質は大きなウエイトを占めている。経営者に対する評価は銀行の担当者が行なうので、ある意味で銀行の担当者の主観で決まる項目である。

経営者あるいは経営陣に対する評価は、取引先格付には欠かせないものである。特にオーナー社長が多い中小企業にとって、社長の経営判断が業況に及ぼす影響は極めて大きく、後継者の有無なども問題にされることが多い。

(参考)会社の格付p .156

この項目は読んで字のごとくといったところになるが、いざ評価することとなるか難しいことを池井戸さん自身もおっしゃっている。

 

経営者の資質を考えたときに、どのように評価すればいいのか非常に主観の入りやすい項目と言える。

 

なので、本著では行員の主観によらない評価の基準を作るべきと書かれている。

 

以前私が受講した融資コンサルタントの方のセミナーでは、融資をスムーズに受けるコツとして必要に応じて経営計画書や会社のパンフレット、仕事場の写真などを持っていくことも推奨されていました。

 

なので、経営者の人となり、つまり銀行が欲しいと考える情報を用意して協力する姿勢であったり、嘘をつかない誠実さなどが評価を上げると考えられます。

 

定量評価の基準値は想像以上に高い

こちらは、定量評価の中でも20点と点数の高いキャッシュフロー額に関するスコア表です。

 

簡単に言うと、企業が事業活動でどれだけキャッシュを生んでいるかを測る指標になります。

 

中小企業の場合は金額が補正されますが、それでも金額にして1,000万円超のキャッシュを生んでいないとこの項目では2点の配点しかもらえません。

 

毎年1,000万超のキャッシュを生む中小企業がどれほどあるでしょうか。

 

一つ言えることは、この定量評価で配点を稼ぐことは難しいと言うことです。

 

であれば、主観は入りますが、社長の人柄などが影響する定性評価でいかにポイントを稼げるかが融資を引き出しポイントではないかと思います。

 

参考図書

  • 池井戸潤(1997)『会社の格付』中経出版
  • 相馬裕晃(2017)『事業性評価実践講座―銀行員のためのMQ会計×TOC』(株)中央経済社

 

まとめ

定性評価というのは、決算書だけでは判断できない格付けの評価項目です。

 

定性評価の中の市場動向は、その会社が属している業界の点数になります。

 

定性評価の中の経営者・経営方針は社長の資質の点数になります。

 

定量評価の評価基準は非常に高くなります。

 

なので、中小企業は定性評価でいかに得点を稼げるかが融資における大きなポイントと言えます。

 

 

編集後記

中小企業の融資の指針は金融庁から『金融検査マニュアル別冊』として公表されているのでそちらを参照されると良いと思います。

 

息子(2歳)の成長日記

不意にアンパンマンのアニメを無性に見たくなるサイクルがあるようです。

 

一日一考

今日は初心に戻って融資の話をしました。

 

先日、図書館に行って会社の格付を読んだことが影響しています。

 

 

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