デメリットから解説:仕事しながら法人を設立することのデメリットとメリット各8選

まいどおおきに!

株式会社スカイクラウドのTOMOYUKIです。

5月末が弊社の第1期の決算申告月でしたので、freeeで申告書を作成してきっちりと申告納税が完了しました。

決算の結果から言うと赤字決算となりました。

原因はいくつかありますが、一番の要因は売上になります。

業務用で購入した消耗品関係の初期投資が回収できなかったのが原因となります。

ただ、赤字といってもそこまで悲観する必要はありません。

資金的には余裕はありますので、即倒産はすることはありませんので。

しかし、めちゃくちゃ余裕があるわけではありませんので、第2期以降はもっと売上を上げれるようにしたいと思います。

会社設立した場合のデメリット

設立費用が掛かる

会社法で定められた設立の形は、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の全部で4つがあります。

この中で、会社設立といって選ぶのは株式会社か合同会社になります。

といっても株式会社が圧倒的に多数派となります。

どちらを選ぶにしても、法務局で設立の申請をする必要があります。

そこで費用が必要になります。

法務局の登録免許税が株式会社で15万円、合同会社で6万円掛かり、さらに株式会社の場合は定款承認というものを公証人役場で5万円必要になります。

つまり、株式会社では約20万円、合同会社では約6万円必要になります。

 

 

勤務先が社会保険の加入事業者の場合は、原則として社会保険料の負担が増える

法人を設立した場合は、かなりの確率で役員報酬を設定すると思います。

なぜなら、法人で売上が上がった際に役員報酬という個人へのお金の流れを設定しておかないと、法人でそのままプールされて1年後の決算で税金の課税対象となるからです。

そして、代表取締役が役員報酬を貰う場合、100%社会保険の加入が必要になります。

もし加入していないと年金事務所からしつこく加入を催促されることになります。

法人の事業所

常時、従業員を使用する法人の事業所(国、地方公共団体を含む)
※法人の事業所では代表取締役や役員も加入の対象となります。
よって法人の事業所であれば規模を問わず全ての事業所において原則加入が義務となります。

(『経営管理センター』より引用http://www.kanricenter.com/labor/forced.html

 

赤字でも税金が掛かる

法人税も所得税も本来は儲けについて課税される税金になるため、赤字の場合は、税金はかからないはずです。

確かに、国税としては課税はされません。

法人になると、均等割という税金が掛かります。

これは、国税ではなく、都道府県と市町村単位で課税される税金になります。

法人を設立すると、最低でも7万円(地域によって異なる。)の税金が掛かることになります。

ご自身の会社の均等割を知りたい場合は、「法人税 ○○県」や「法人税 ○○市」のように検索すると、市役所ごとの法人税を簡単に検索することが出来ます。

 

税務申告書類が増える

個人事業との比較になりますが、ざっくり言うと、個人の書類1に対して、法人の書類は5ぐらいの差があります。

そのため、申告書の作成経験がなければ法人の書類を作成することは困難と言えます。

今では会計ソフトも進化していますのである程度出来るかもしれませんが、会計上の考えと税務上の考えが違うなど、会計ソフトだけでは対応できない点もあります。

 

 

社会保険の年1回の手続きが増える

こちらは、役員報酬などの給料を支払う前提でのお話です。

法人で、給与を支払う場合は自動的に給与支払事業者となります。

すると、年金事務所に対して算定基礎届というものを提出する必要があります。

こちらは、4月~6月までの各従業員(社長含む)の給与の平均額を届けるための書類となります。

代行依頼するには、社労士の資格を持つ個人または法人に依頼する必要があります。

社長1人の場合は、簡単かもしれませんが、従業員が多い場合は、煩雑な手続きになります。

さらに、従業員に賞与を支給したりした場合も年金事務所に手続きが必要になったりしますので、給与支払事業者になるということは、手間が非常に増えると言えます。

毎年4月~6月の3ヶ月間の平均給与額から被保険者の標準報酬月額を決定するために、7月上旬に年金事務所に届ける書類を「算定基礎届」と言います。基礎算定届の提出により、その年の9月から1年間使用される標準報酬月額が決定されます。

(『ソムリエ』より引用https://www.somu-lier.jp/goodstory/notification/

 

 

会社を潰す時もお金が掛かる

会社を設立する時にお金が掛かったように、会社を潰す時もお金が必要になります。

私の経験上の話になりますが、借入などがない場合(債権者がいない場合)、会社の解散をするために、司法書士報酬や税理士報酬、登録免許税などで約30万円ほど掛かっていました。

潰す方法も、解散、破産、休眠など様々な方法があり、その時の会社の状況などによっても必要な費用は変わってきますが、ある程度の費用や手間は考えておかないといけないでしょう。

 

 

税理士費用が個人事業に比べて高くなる

上記で、作成する書類が個人事業に比べて増える旨をお伝えしました。

そうなると、代行依頼する税理士の報酬についても当然差が出ます。

税理士報酬については、依頼する税理士事務所によってバラバラなので、一概にいくらということは言えませんが、私の感覚としては、個人の申告に比べて1.5倍~2.5倍ぐらいは費用負担は変わってくると思います。

 

 

法務局の手続きが増える

少し難しい表現かもしれませんが、法人を作るということは、書類上1つの人格を作るということになります。

例えば、個人が引っ越しする時は、市役所に転出届と転入届を提出すると思います。

それと同様に、法人の場合も事務所を転居したり、支店を増設した場合は、基本的に法務局に届け出をする必要があります。

個人の引っ越しと違うところは、これには登録免許税が掛かるということです。

旧本店所在地と新本店所在地が同一の法務局の管轄である場合

管轄の法務局へ登記申請を行います。
登録免許税は3万円になります。(法務局が異なる場合は6万円。)

(『はやみず総合事務所』より引用https://www.sgho.jp/blog/%E7%99%BB%E8%A8%98%E4%BD%8F%E6%89%80%E5%A4%89%E6%9B%B4/429

当然、司法書士さんに代行依頼すると別途費用が発生します。

経験上、登録免許税と同額、他の申請を同時に依頼すると少し割引きをしてくれるといった料金体系が多いと思います。

 

 

 

会社設立した場合のメリット

初期投資の経費が10年繰り越せる

さきほど、私の第1期目の決算が赤字だったというお話をしましたが、法人の場合、その赤字を10年間繰り越すことが出来ます。

法人税の損金算入の順序

繰越欠損金がその事業年度開始の日前10年(注1)以内に開始した事業年度のうち2以上の事業年度において生じている場合には、最も古い事業年度において生じたものから順次損金算入をします。

  1. (注1) 平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年です。                                   (『国税庁HP』より引用https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

こうすることで、第1期で出た赤字は、ものすごくざっくり言うと第11期まで経費みたいに取り扱うことができます。

 

 

勤務先が社会保険の加入事業者でない場合は、社会保険に最低の金額で加入できる

副業で会社を設立した場合は、従業員として勤務していることが想定されます。

その会社が社会保険の加入事業者でない場合は、社会保険に未加入または、国保加入のケースが考えられます。

ここからは勤務先の会社との相談が必要となりますが、もし可能であれば、自分で作った法人で社会保険に加入することで、従業員として勤務しているところでは保険加入をしないという選択肢もあります。

社会保険は、基本、毎月の給与の金額に比例して金額決定されます。

例えば、毎月法人で5万円だけ役員報酬を支給していれば、最低の2万3千円弱(個人、会社負担合計)で加入が可能になります。

月額の給与額に対する社会保険負担

(『全国健康保険協会』より引用https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan4gatsu_2/h31040228hyogo.pdf)

 

 

借入がしやすいかも?

私の経験上は法人を設立した方が借りやすいと思います。

ただ、借入の際に最も大事なのは、社長個人の信用になります。

過去にクレジットカードで未決済だったり、借入を踏み倒したりするようなことをしていたら、いくら法人を設立しても借入は難しいでしょう。

 

 

自分以外の人(奥さん、親戚など)を取締役として登記することでその給料を経費にすることが出来る

個人事業の場合、親族への給与支払いについては厳しく規制されています。

しかし、法人になると新たな人格を作ることになりますので、個人事業に比べると給与を支給しやすくなります。

ただし、この点については非常にデリケートなところになりますので、支給金額や支給方法などについては、顧問税理士などとの相談が必要なところになると思います。

有名な判例については、私のブログでも解説しています。

この経費が認められないの?所得税法56条の不思議―弁護士報酬事件―

 

 

商号に株式会社や合同会社を使用できる

株式会社や合同会社という商号は、法務局に登記を行った場合にしか使用できません。

立派な会社法違反になります。

個人が商号を使った場合の罰則について

(『Yahoo!知恵袋』より引用https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1229616117

逆にいうと、株式会社や合同会社の表記は、一定の信頼度があろことを示します。

もし、ちょっと怪しいなと思う会社に遭遇したら、以下のサイトで一発で登記されているかどうか確認が出来ます。

『国税庁 法人番号公表サイト』

https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

 

 

一定の所得を超えると個人事業者に比べて税率が下がる

法人の場合は法人税が適用され、個人事業の場合は所得税が適用されます。

そのため、どちらので毎年の申告をするかによって、その年に支払う税金が変わります。

所得税は累進課税と言われます。

累進課税とは、儲けが増えるたびに税率が上がっていきます。

法人は、どれだけ儲けが出ても一定の税額になります。

そのため、単純な計算では利益がかなり出る場合は法人の方が得になります。

以下の『個人事業主.com』さんのサイトでは、税率について見やすくまとまっています。

https://jigyonushi.com/zeikin_hikaku.html

 

 

 

消費税が2年間免税となる(改正により変更になる可能性あり)

消費税には、いつから掛かると支払うといったスタートラインが決められています。

それが、基準年度の売上というものになります。

ざっくりいうと2年前の売上が1,000を超えた場合になります。

例えば、個人で順調に売上が上がって1,000万円を超えた場合に、2年後法人を設立すると、スタートラインが法人基準に変わるため、都合2年間、消費税の免除期間が延長されます。

※単純に2年前ということではありませんので、詳しくは顧問税理士などにご相談下さい。※

基準年度の売上について

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。

(『国税庁HP』より引用https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

 

 

1人で複数の会社を持つことが出来る

理論上、会社は1人で何個でも持つことが出来ます。

例えば、1社を持株会社にして、その下に複数の会社を子会社化して事業展開していくなどは会社の活用方法としてよくある手法かと思います。

ただ、それをするには、会社法や法人税法はもちろん様々な法律の影響を受けることになりますので、このようなことに精通した方でないと適切な運営は難しいと思います。

 

 

まとめ

今回は、法人の設立についてデメリットとメリットをそれぞれ8つずつ挙げてみました。

まだまだあると思いますが、これだけみても、法人を立てるということで良いことも悪いこともそれぞれあるということが分かると思います。

少なくとも、法人を作ると個人事業の時よりも費用は多く発生します。

なので、安易な法人設立は結果として不幸な結末の始まりかもしれません。

法人設立をする際は、リスクとメリットをしっかり比較検討して決める必要があると思います。

 

 

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