国が上告を決定。ムゲンエステート事件をざっくり解説

本題

消費税の論点の難しさ

大学院で論文を作成するにあたって、消費税のテーマを論点にすることは難しいと言われています。

理由は、所得税や法人税と比べて歴史が浅いので、参考文献が少ないこと。

消費税は間接税と言われていて、所得税や法人税の直接税と比べて検討の余地がない、つまり、条文に消費税をこういう場合に納めなければいけないと書いてあれば、反論の余地がないため、争いになりにくいことが挙げられます。

争いが起きにくいということは、消費税の裁判もおのずと少なくなりますし、その裁判を題材にした参考文献も少なくなり、結果、大学院の論文を書くことが難しい分野と言われます。

それでも、消費税は税理士試験の税法分野の中では最も受験者数が多い人気の科目で、大学院入試の研究計画書でも消費税で一度テーマを検討される方もいます。

そんな中、消費税の裁判として注目されている裁判にムゲンエステート事件があります。

ムゲンエステート事件

株式会社ムゲンエステートは、主にマンションなどの不動産販売と不動産賃貸を行う東京証券取引所市場第1部の上場企業です。

2013年12月期から2015年12月期の3事業年度について、税務調査により国から消費税の仕入税額控除の修正依頼を受けました。

同社のプレスリリースはこちら

同社は、これを不服として、2017年12月27日に東京地裁に提訴を行いました。

ウィキペディアによると、中古不動産を買い取って、リフォームして再販売する事業が柱になっているようです。

仕入税額控除

さて、今回の事件ですが争点は、仕入税額控除(消費税の計算上引ける金額)の金額になります。

この仕入税額控除は、売上の構成によって特殊な計算を行うこととされています。

売上には、課税と非課税のものがあります。

非課税のものの中には、土地のように消費して無くならないようなものの売却や貸付けについては消費税10%が発生しません。

今回の株式会社ムゲンエステートの行っている事業は中古マンションを仕入れて売買ですが、同時に賃貸として貸し出している場合もあったようです。

推測にはなりますが、中古マンションを購入してもすぐ売れるわけではないため、売却できるまでは賃貸を行っていたのではないかと思われます。

住居用の建物の場合、土地と違い、売却の場合は課税で、貸付けの場合は非課税になります。

つまり購入したマンションはそれが販売目的なのか賃貸目的なのかによって仕入税額控除が100%引けるのかそれとも50%など売上に応じて計算するのかという計算上の違いが生じます。

最高裁へ上告

2021年05月10日 税のしるべでは、国が最高裁へ上告したとされています。

しかし、これは、高等裁判で過少申告加算税について取り消されたことに対するもので、高等裁判の時点では、納税者敗訴で仕入税額控除については、売上の中で住宅の貸付けの割合については控除できないという判決が下されています。

つまり、現時点では、マンションなどの建物の仕入を行なった場合の仕入税額控除の計算については裁判上、整理されています。

まとめ

消費税の判例として、現に裁判で争っているムゲンエステート事件について大まかな流れの解説を行いました。

消費税の事件は正直少ないです。

そこで、話題性とお題の鮮度というところでこの事件は題材としては良いテーマだと思います。

研究計画書の作成について、事件の流れを整理するのは重要です。

最近の事件を扱うメリットとしては、情報がネットで集めやすい点です。

図書館などが閉鎖されている今の状況下では、研究計画書の作り方として有効な手法の一つかと思います。

今回は税のしるべの電子版の記事を参考にまとめました。

 

編集後記

今日も、法人決算、一時支援金を進めていきます。

 

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いつも寝起きの行動が違います。

今日は、なぜかずっと私の足にコアラのようにしがみついて離れませんでした。

 

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昨日は雨天中止でした。

 

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今日も朝7時から、ピラティスを受講しました。

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