17個の新判例が採用された【新】租税判例百選第7版と【旧】第6版との比較

本題

租税判例百選第7版Kindle版を購入しました。

租税判例百選というのは、租税法を教える大学院に入ると、ほとんどの学校の何らかの授業で使われるとても有名な租税法の教科書的な本になります。

なので、大学院入学前であっても購入しておいて損はないでしょう。

Kindle版に対応しているのも嬉しいポイントになります。

第6版と比較して、ページの表示の仕方が大きく変わりました。

こちらは、第6版のビューアー。

1ページにかなりの分量が入っています。

私はこっちで慣れているので、読みやすいです。

こちらが、第7版のビューアーになります。

PDFファイルのような形で1ページ表示できる分量は少なく。

上から下にブログのように読んでいく形になります。

順序よく読めますが、全体をパッと把握するには向いていないといえます。

第7版から新しく追加された判例解釈もあります。

今日は、それを紹介したいと思います。

その前、大学院コンサルをしていると、第6版と第7版のどちらを使えばいいのかと聞かれることがあります。

私はどちらでもいいと回答します。

その理由は、掲載される判例はほとんど変わらないからです。

租税の判例というのは、毎年どんどん新しいものが出るわけではありません。

ただし、今回、新しく入った判例を下記で紹介しますが、合計17個が新しく加わっています。

例えば、大学院入試を競争試験と考えた場合、より新鮮な判例を題材にすることは、試験を有利に進めることができる材料となり得ます。

第6版しか使っていない人がライバルだとすると、第7版の新しい判例を見つけている時点で、アドバンテージを取れることになるので、より倍率の高い人気のある大学院に合格したいということであれば、積極的に新刊の第7版を使うことには大きな意味があります。

時に大きな判例があり、実際に掲載されている判例を見ると、昭和33年、実に60年ほど前のものも掲載されています。

なので、基本的にはほとんど変わらないため、第6版の判例をテーマに据えて研究計画書を書いても問題ありません。

では、第7版で新しく組み込まれたものですが、

16相続税減額を目的とした養子縁組の効力
最高裁平成29年1月31日第三小法廷判決

26第二次納税義務の「徴収不足」要件最高裁
平成27年11月6日第二小法廷判決

31「生計を一にする」の意義最高裁
昭和51年3月18日第一小法廷判決

43資産の意義東京高裁
平成27年10月14日判決

64組織再編成に係る行為計算否認──ヤフー事件最高裁
平成28年2月29日第一小法廷判決

66前期損益修正──クラヴィス事件最高裁
令和2年7月2日第一小法廷判決

72恒久的施設の意義──インターネット販売倉庫事件東京高裁
平成28年1月28日判決

73不動産譲渡対価の支払に際しての非居住者該当性の確認──住友不動産事件東京地裁
平成28年5月19日判決

75タックス・ヘイブン対策税制の適用除外要件──デンソー事件最高裁
平成29年10月24日第三小法廷判決

76独立企業間価格の意義(1)──ワールド・ファミリー事件東京地裁
平成29年4月11日判決

78租税条約上の情報交換と手続保障東京地裁
平成29年2月17日判決

86相続財産の評価(1)──土地東京高裁
平成27年12月17日判決

89訪日ツアーと輸出免税東京地裁
平成27年3月26日判決

91課税仕入れを行った日東京高裁
令和元年9月26日判決

99固定資産評価審査委員会決定の取消訴訟において主張しうる事項最高裁
令和元年7月16日第三小法廷判決

113源泉徴収制度の合憲性──株式会社月ヶ瀬事件最高裁
昭和37年2月28日大法廷判決

116源泉徴収所得税納期限後の錯誤無効主張の可否最高裁
平成30年9月25日第三小法廷判決

私がチェックした限りなので、もし間違えていたらすいませんが、合計17個の判例解釈が追加されていました。

こうして見ると、新しく組み込まれた判例は、ほとんどが平成27年から令和2年までの判例になります。

さらに、最高裁判例が多いことが特徴です。

最高裁判例というのは、それ以上に高等な裁判所はあり得ないということで、最高裁で下された判決は未来永劫、日本の司法に大きな影響を与えます。

第7版から新しく組み込まれた判決に最高裁判決が多いというのは、同じ分野に関する判決でもより、新鮮で重要度の高い判決と考えることができます。

特に、国際課税の分野や消費税の分野で新しい判例解釈が採用されている点は、今、税法の世界でどの分野の研究が熱いのかをそのまま表しているように思います。

ということは、単純に考えて、この分野の研究を志願することは、書類選考で良い印象を与えることはあっても、悪い印象を与えることはないと考えるのが自然だと思います。

 

編集後記

今日は、クライアントと打ち合わせになります。

 

息子&娘(4歳4ヶ月&0歳4ヶ月)の成長日記

奥さんの友達から、娘のためにキティーちゃんの人形が出産祝いで送られてきました。

メロディーを奏でて、お腹のあたりが光って、上下に動く機能がついていて、赤ちゃんが興味を示してくれそうな優れものに感謝です。

 

ヨガ日記(SOELUソエル)

今日は、朝の太陽礼拝を受講。

 

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