本題
2つの裁判
住宅に関する消費税の裁判で、最近の事例として非常に似た判例があります。
1つが、ムゲンエステート事件、もう1つがADWでどちらも不動産販売と賃貸を主力する企業になります。
ムゲンエステート事件については、先日ブログにしたので、事件のざっくりした流れはそちらを見ていただきたいのですが、要するに、仕入れた建物について仕入税額控除がいくらできるのかという争いになります。
例えば、1億円の中古住宅を購入したとします。
すると、消費税は10%なので、1千万円で合計1億1千万円で購入することになります。
仕入税額控除というのは、この1千万円を消費税の納税額を計算する際に引くことを言います。
ただし、住宅の貸付けのように非課税の売上があるような会社は、その住宅に仕入の中の消費税1千万円のうち、非課税売上の割合は引くことができない場合があります。
その割合について上記2つの事件では争われました。
判決内容が異なる判例
業種も事業内容も似たよう2つの事件ですが、判決内容は全くの逆になります。
まず、時期としては早く行われたムゲンエステート事件、こちらについては、高等裁判まで終了しています。
最高裁への上告は確定していますが、ほぼ、判決内容は確定しています。
その内容は、納税者敗訴になります。
つまり、住宅の仕入れについて仕入税額控除は100%ではなく非課税売上の割合については引くことができないという判例になりました。
次に、ADW事件ですが、こちらは東京地裁の判決まで終わっています。
なお、これらの両事件は同じ東京地裁で行われています。
しかし、判決内容はまったくの逆の内容となっています。
つまり、ADW事件では仕入税額控除は100%認められました。
このように、似たような事例でも全く違う判決が出るぐらい微妙な解釈が必要な条文と言えます。
なお、ADW事件は高等裁判に控訴されると思われるので、判決が逆転することも十分考えれます。
消費税の改正
税法というのは、時代に合わせてよく改正が行われます。
その改正ですが、よく裁判が発生した後に行われることが多いです。
なので、税法の改正があったら裁判で争われている可能性が高いと言えます。
これらの裁判を受けて令和2年に改正が行われました。
その改正内容は、居住用賃貸建物(注1)の課税仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めないこととされる。
(注1)居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産 に該当するものをいう。
税理士法人山田&パートナーズより引用
というものでした。
しかし、(注1)の住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物という縛りが実に分かりにくいとも言えます。
しかし、今まで、居住用賃貸建物という概念自体、消費税法にはなかったため、上記2つの判例を受けて、消費税法上、明文化させたと言えます。
まとめ
大学院の研究計画書を書く際には、事実の正確な理解をする必要があります。
税法の改正1つとってもその原因となることというのは、高い確率で起こっています。
それが裁判であれば、そのまま研究計画書のテーマとして使える可能性はありますし、時代背景の変化が影響していたとしてもテーマにできる可能性はあります。
編集後記
今日は、オフです。
息子(3歳8ヶ月)の成長日記
今日のランチは、奥さんお得意のお手製ピザを食べました。
息子もピザは大好きで、「ピザパーぴぃー」と惜しい言い間違いをしながら、楽しんで食べていました。
ピザだと、ピーマンが食べれるから不思議ですね。
レッツゴージャイアンツ
5/15vs阪神 勝ち
試合中盤スモークの逆転3ランが飛び出しました。
これまで350と高打率を叩き出している助っ人のスモークでしたが、ここぞの場面で良い仕事をしてくれました。
最終回は、3人の投手をつぎ込みなんとか阪神打線を抑えましたが、首位阪神から離されかけた状態で、非常に価値のある一勝でした。
ヨガ日記(SOELUソエル)
今日は、オフです。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
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