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本題
在職老齢年金の支給停止とは
自営業者であれば、60歳を過ぎてもバリバリ働かれる人というのは珍しくありません。
65歳になると、一応年金の支給を受けることができますが、60歳まで繰り上げ受給ができたり、反対に75歳まで繰り下げ受給ができたりと、支給開始の時期についてはかなり幅があります。
そこで、気になるのが、在職老齢年金の支給停止という言葉です。
言葉だけ見ると難しいのですが、簡単にいうと年金以外で稼ぎ過ぎていると、その分年金をカットしまうよという制度になります。
なんじゃそれという感じもあります。
だって、年金ってこれまで国に積み立てた分を後から老後の生活費として受け取る制度なわけです。
それに、老後いくら稼ぐかなんて個人の自由ですし、頑張ったらその分、年金が減らされるというのもよく理解できません。
腑に落ちない制度なので、あまり浸透していないように思います。
具体的には以下のような仕組みになっています。
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK39.pdf
日本年金機構より
基本月額というのは、日本年金機構と共済組合等からの全ての老齢厚生年金を合わせた年金額を12で割った額になります。
そして、総報酬月額相当額というのは、毎月の賃金によって決まる厚生年金の報酬月額に賞与の報酬の合計を12で割った金額となります。
そうなると、48万円を超えた金額を12で割った金額の半分が支給停止額となります。
年金と給料と賞与を含めた金額を12で割った金額が48万円を超えると支給年金を減らしますという制度です。
この対策としては以下の方法があります。
対策1 年金の支給繰り下げ受給
これは、最も一般的かと思いますが、年金を65歳からではなくもっと先延ばしにして貰う方法です。
例えば、会社社長で役員報酬が月50万円ある場合、年金を受給すると確実に支給停止になる金額が発生してしまいます。
そして、支給停止になった金額は、2度と支給されることはありません。
なので、現行制度であれば75歳まで繰り下げすることができるので、そのような対策を講じることは有効です。
対策2 ミニマム法人化
これは、奇策となります。
状況によって使えるかはその会社の事業次第とはなります。
例えば、1人親方で下請けを法人で受けているような場合で、その仕事を個人に切り替えても売り上げが下がらないとか、下がっても消費税分ぐらいなど、法人の影響を受けないようなケースです。
その場合は、法人には最低限の売り上げだけを残し、あとは個人事業主という形で報酬を貰うというのも不可能ではありません。
これのすごいところは、売り上げがいくらあっても、在職老齢年金の支給停止にならない点です。
在職老齢年金の支給停止というのは、総報酬月額相当額で決まるので、個人事業として報酬を受けることで、その金額が全く上昇しなくなります。
さらに、報酬の30%という高い社会保険についても、法人には最低限度の売り上げと役員報酬の設定をすることで、極限まで抑えることができます。
ただし、この方法は、法人名義で銀行借入があったり、従業員が複数いたりすると、個人で仕事を受けるというのが現実的ではないため、そこそこの売り上げの会社が使える方法となります。
単純な報酬減額は実質意味なし
よく、対策として言われやすいのは、役員報酬を下げたらいいのではという方法になります。
確かに、年金と合わせて月48万円までに抑えればいいので、単純な発想として、役員報酬の減額に着地しがちです。
しかし、法人を作って額面30%もの高額な社会保険(役員報酬が一定金額を超えるとそれ以上上がりません。)を払って役員報酬をきちんと設定する最大の理由は、退職金を取りに行くことです。
退職金によって、通常では考えられない税率で、お金を法人から個人に移すことが可能となります。
それが、引退する直前でもある年金開始時期に減額するとなると、本末転倒となりかねません。
退職金の設定は、退職時(もしくは役職変更時)の最終報酬月額を基準に算定することが一般的となるので、やはり、人生の後半において、役員報酬を減額するというのは、手取り金額を最大化する方法としてはオススメできない方法になります。
まとめ
在職老齢年金の支給停止について、実践的な対策を記載しました。
この制度で支給停止になった年金については、消滅して2度と戻ってくることはありません。
役員報酬が高く設定されている場合は、基本としては、退職するまで繰り下げ受給を検討することになるかと思います。
そして、会社の状況に応じて、ミニマム法人の活用というのも1つの手段となるでしょう。
息子&娘(5歳11ヶ月&1歳11ヶ月)の成長日記
牛乳好きなので、スーパーで、ミルメークをいう牛乳に混ぜて、いちごやバナナ、コーヒー味にできる商品を見つけて、試しに全部買ってみました。
また、子供達に作ってあげたいと思います。
阪急塚口駅南に徒歩5分、阪神高速・尼崎インター下車北へ車で5分のところで開業中の税理士・行政書士です。
既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
著書「研究計画書の書き方 Kindle版」発売中
よろしくお願いします。