まいどおおきに!
税法大学院合格コンサルタントのTOMOYUKIです。
私の前職の税理士法人は法人設立件数1万社以上を誇る日本でも有数の法人設立に特化した会社でした。
そのため、当時は設立1期目の会社を数多く担当していました。
また、検算という会計の決算確認作業についても月5、6件はコンスタントに見ていました。
かといって、合同会社が多かったかというとそういうわけではなく、感覚としては、9対1ぐらいで株式会社の方が多かったです。
株式会社と合同会社については税法上の扱いはまったく同じです。
しかし、会社法で明確に区分されています。
株式会社と合同会社の違いで大きなものの1つに定款認証が必要か否かという違いがあります。
定款とは、会社のルールブックです。
株式会社も合同会社も定款の作成は必須です。
そして定款認証とは公証人役場で公証人によって定款が公的なものとして認められることを言います。
定款認証は株式会社にのみ必要なものになります。
このことが、合同会社が株式会社に比べて安く設立できる理由の1つになっています。
今回は、なぜこのような違いがあるのかについて解説したいと思います。
株式会社だけ定款認証しないといけない理由
三軒茶屋の司法書士のブログ『おおふるたカオス』
http://ohfuruta.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-8bf7.html
ここは一旦、登記のエキスパートの方のブログを参考にさせて頂きたいと思います。
説明するためのキーワードは「所有と経営の分離」になりそうです。
所有と経営の分離とは、株主と経営者が別々の人が担当することが”予定”されていることです。
予定と書いている通り、一人社長などの株式会社では所有と経営が分離されていません。
実務の現場でも、一人社長が出資して会社を設立して、一人社長が経営に従事しているケースが多いです。
定款認証が必要とされた背景には、株式会社の制度の発足当初は所有と経営の分離が予定されていて、設立してから、株主と経営者の間で揉め事が起こった場合に、公的な定款があれば事態が収拾するだろうとされた名残りになります。
一方、合同会社については株主(社員)と経営者は同じ人になります。
当然、揉め事は想定していないため、定款を公証人役場で証明して貰う必要もないというわけです。
では、根拠となる法律は会社法30条になります。
株式会社は、「公証役場で認証を受けなければなりません。(会社法30条)」と書いています。
なので、結論としては条文に書いているからです。
やったことも聞いたこともないので分かりませんが、仮に定款認証を受けていない定款を法務局に持っていっても窓口で受け取って貰えないでしょうww
ただこれだけが結論だと何か味気ないので理由付けは前半部分になってくるのかなと思います。
しかし、新しく設立される株式会社のほとんどは一人社長です。
統計は見ていませんが、これまで私が担当した会社では20社あれば19社は一人社長です。
もちろん、家族が役員になっているケースはありますが、実質会社をコントロールしているのは代表取締役であり、出資比率100%の場合がほとんどでした。
そのため、揉め事の解消を想定した定款認証であれば、その本来的な意味合いはなくなってきているとも言えます。
公証人役場とは
公証人役場とは、契約書が法的に正しいことを国から認定を受けた公証人と呼ばれる方が証明する機関になります。
公証人役場に定款を持って行く(今はほとんど、電子定款なので事前にメールなどで送るという手続きになります。)と公証人の人が法的に不備がないか確認をして問題ないと判断されると、お金を払って認証を受けます。
このとき、公証人に支払う金額が5万円になります。
合同会社は認証の必要がないため、この時点で株式会社に比べて5万円安く設立できることになります。
私も自社の設立の際に管轄の公証人役場に行きましたが、確認作業は一瞬で終わります。
というのも、株式会社の設立についてはフォーマット化されていて、その通りに作成を行えば間違えようがないからです。
公証人の方もそれが分かっているため確認作業もほとんどありません。
例えば、株主が複数いたり、株式に特殊な効果を持たすような場合は大変かと思いますが、しかし、1人社長のように、所有と経営が分離されていなければ揉め事が起きようがありません。
そのため、定款自体もフォーマット通り作成して特に問題は起きません。
電子申請と印紙税
さきほど、定款の認証はほとんど電子申請とお伝えしました。
しかし、本来は紙で定款を作成する必要があります。
なぜ、紙の定款を作成しないのか。
それは紙の定款を作成したら印紙税が掛かってしまうからです。
個人的には、この印紙税という制度は時代に合ってない税金だとつくづく思うのですが、廃止の検討がされているとも聞かないため、今後も国税として機能していくと思います。
印紙税の金額ですが、なんと4万円が掛かってしまいます。
紙でなく電子で作成すればいいだけなので、なんとしても電子でやりたいところですよね。
ただそこは税金ってうまいこと出来ているんですよね。
自分でやろうとすると4万円とはいかなくてもそれに近い金額が掛かってしまうんですよね。
しかも、設定などがめんどくさい。
Adobeのような電子ソフトが必要なのですが、Adobeを使っている私でさえそのめんどくささから自分で電子定款を作ることは諦めたほどです。
私は、自社を設立したときは、法人設立freeeで、5,000円で行政書士の人が代行申請してくれるプランを利用して、この印紙税4万円を回避しました。
法人設立については、税理士事務所はじめ、司法書士、行政書士など様々な士業の方がいろんなサービスを展開していますので、どれを利用して設立するかは幅広く選ぶことが可能です。
紙で作って、みすみす4万円取られてしまうことだけは避けたいところです。
株式会社の定款テンプレート
さきほど、私は法人設立freeeで作成したと書きました。
この法人設立freeeは、ほんとによく出来たシステムで、いつ公証人役場に行って、いつ法務局にいって書類はどうゆう形で提出するかなどいろいろ教えてくれます。
システムで表示される通りに進めていけば不備もなく進めていくことが出来ます。
私の場合は、約2週間ほどで会社の設立が完了しました。
ちなみに会社印鑑の発注なども出来ます。
会社印鑑を発注しようとすると、通常3本セット(実印、銀行印、角印)で販売されている場合が多いです。
でも、実は、印鑑は1本あれば業務を行う上で問題ありません。
印鑑証明をしていない銀行印と角印は法的効力はありません。
実印と銀行印は同じでもいいですし、角印に至っては私は使っていませんし、私は角印は見栄を張るためだけに存在しているとも思っています。
あと、定款については、無料でダウンロードも可能です。
認証する側の公証人連合会のホームページで丁寧にPDF形式でもワード形式でもダウンロードできるようされています。
日本公証人連合会HP
まとめ
昔の起業家の夢は会社設立だったかもしれません。
しかし、現在、会社法改正もあいまって、株式会社は簡単に持つことが出来ます。
そのため、会社を持った後どのように使うかが大事な時代になっています。
本当に必要かどうかよく検討して設立されることをおすすめします。
息子の成長日記
「キーコッコ」とたまに言うときがあります。
よく聞くと「ピーポーポー」と言っていました。
パトカーや救急車、消防車などのことを指しているようです 笑
1日1新
昨日は、研究計画書作成サービスABCコンサルの中のA、B、Cのコース全部をお一人で注文して頂きました。
その方の大学院入学のサポートを全力でさせて頂きたく思っています。
阪急塚口駅南に徒歩5分、阪神高速・尼崎インター下車北へ車で5分のところで開業中の税理士・行政書士です。
既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
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