ブログなり、YouTube配信をしていると、いらんな法律や制度に触れることがあります。
夫婦別氏についても、新しく触れた概念の1つです。
私は、結婚をして男性ということだけで自分の氏をそのまま継続して使っています。
結婚をした時は、それが普通だと思っていましたし、当然、女性が変えてくれるものと考えていたので、深くそのことについて関心はありませんでした。
しかし、例えば、アメリカなどでは、氏については選択性になっていて、カナダでは結婚しても別氏のままというのが原則になります。
なので、国際レベルで見ると、夫婦別氏というのは意外と普通です。
そもそも、夫婦について同じ氏を使わなければいけないというのは、戸籍法との絡みがあります。
結婚して、世帯を持つと世帯主の戸籍に配偶者が強制的に入ることになります。
離婚すると、この戸籍に離婚歴が記録されることになります。
この戸籍法というものが日本の伝統的な法律として存在しているため、民法上、夫婦別姓が認められていないのが現状です。
では、国はこのことについて、どのように考えているのかですが、司法上の見解というのは、平成27年の最高裁裁判にて示されています。
・ 氏には,夫婦及びその間の未婚の子が同一の氏を称するとすることにより,社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある
・ 夫婦同氏制度は,家族を構成する一員であることを対外的に公示し,識別する機能を有している
・ 家族を構成する個人が,同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる
・ 夫婦同氏制度の下においては,子の立場として,いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいといえる旨の判示がされています。
また,選択的夫婦別氏制度については,
・ 例えば,夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制度について,そのような制度に合理性がないと断ずるものではない,
・ この種の制度の在り方は,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである旨の判示がされています。法務省HP参照
こちらの裁判については、選択的夫婦別氏制度という長年、法務省で議論されている制度の創設に絡んで司法の判断が示されたものです。
要約すると、夫婦が同じ氏を使うことには、メリットがある。
しかし、夫婦別氏を希望する人が、選択的夫婦別氏制度を利用することに合理性がないと言い切れない。
ただ、制度設計については、司法ではなく国会で決めてね。
という内容になります。
なんか肩透かしをされたような内容と言えます。
まあ、現時点で、夫婦別氏が認められていない以上は、婚姻すれば夫婦は同じ氏で世帯主の戸籍に入る他ありません。
それが嫌なら、事実婚をするしかないことになります。
この事実婚というのが、今回、夫婦別氏について考えるきっかけになったキーワードになります。
というのも、社会保険の扶養には事実婚の妻または夫を入れることができます。
ただ、税法上の扶養では、事実婚を認めていません。
夫婦別氏制度、希望する人には、そのような制度をを認めてあげてもいいのかなと思いますが、どうしても戸籍法との絡みが出てくると思います。
日本にはあまたの法律が存在します。
法律を変えるには、1つを変えると他の法律にも影響することでしょう。
法治国家として発展してきた日本ですが、昔の法律が現代の実情にそぐわないということは往々にして存在しているのだと思います。
阪急塚口駅南に徒歩5分、阪神高速・尼崎インター下車北へ車で5分のところで開業中の税理士・行政書士です。
既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
著書「研究計画書の書き方 Kindle版」発売中
よろしくお願いします。