がんばる税っ!
みつばち会計事務所の丸山です。
家賃がもったいないし、住宅ローン控除で得できるしということで、一念発起して新築マンションや戸建て住宅を買うということがあると思います。
今日は、住宅ローン控除の意外に知られていない住民税の控除についてお話ししたいと思います。
令和元年10月以降の制度
ご存知の通り、令和元年の10月以降に購入をしたもので、10%の消費税が適用される物件については従来の10年間の減税にプラス3年間、計13年間のローン減税が認められることになりました。
その話をする前に一旦、制度についておさらいしたいと思います。
住宅ローン控除には、3つ適用できる制度があり、それが以下の3つになります。
- 通常の住宅の場合
- 認定住宅の場合
- 東日本大震災の被災地の特例対象の場合
②の認定住宅は新築購入の場合に、認定長期優良住宅や低炭素建築物などと国の法律に基づいている建物になります。
③については、震災で被害を受けた方に対する特別な制度になります。
そして、多くの場合は、①の通常の住宅の場合に該当すると思います。
こちらの制度は、原則として4,000万円までの年末時点のローン残高の1%(マックス40万円※)が税金から控除される制度になります。
※購入した物件の金額がローン残高より少なければそちらの金額の1%になります。
その話については次のセクションで話していきます。
消費税が10%の物件を購入した場合は、11年目、12年目、13年目の3年間延長で以下のうちいずれか低い方の金額が控除されることになりました。
- 4,000万円までのローン残高×1%
- 建物部分のみの取得価額(税抜き)×2/3
なので、戸建ての場合はローン残高に比べて②の控除額が少なくなるため、マンションの方がローン控除できる金額は増えそうですね。
住宅ローン控除で控除される順番
住宅ローン控除で控除される税金には順番があります。
まずは国税である所得税から控除して、それでも控除されず余った税金について住民税から控除されることになります。
サラリーマンの方で仮に控除限度額MAXの40万円を所得税だけから控除しようとした場合は、月額50万を超えるぐらいで年間700万円近くの年収が必要になります。
ただし、これは基礎的な給与所得控除と社会保険料控除のみの控除として計算した金額にるため、配偶者や扶養親族がおられる方々は、もっと想定される年収が高くなります。
各年収ごとに生じる所得税額
- 月給40万年収480万の場合は所得税は165,200円
- 月給50万年収600万の場合は所得税は277,100円←所得税だけでは控除しきれない!
- 月給60万年収720万の場合は所得税は468,300円
- 月給80万年収960万の場合は所得税は893,900円
※注意
給与所得控除と社会保険料控除と基礎控除のみで計算しています
住民税の控除
では、次に住民税から控除される仕組みについて見て行きたいと思います。
上で見たように月給50万年収600万の人の所得税は277,100円であるため、住宅ローン控除の金額全てを引き切る事はできません。
その場合に住民税で控除できる仕組みになっています。
しかし、住民税から控除できる限度額というのが決まっていて、それは、以下のいずれか低い金額になります。
- 所得税の所得金額の7%
- 136,500円
なので、月収が30万円から50万円までの方の住民税から控除できる住宅ローンの金額は、それぞれ次のようになります。
- 月給30万年収360万の場合の住民税の控除限度額は122,220円
- 月給40万年収480万の場合の住民税の控除限度額は136,500円(❷が適用されます。)
- 月給50万年収600万の場合の住民税の控除限度額は136,500円(❷が適用されます。)
※注意
これは、住宅ローン控除がMAXの40万円適用できた場合で計算しています。
そして、住民税から控除される住宅ローン控除の金額は、
- 月給30万年収360万の場合の住民税の控除額は122,220円
- 月給40万年収480万の場合の住民税の控除額は136,500円
- 月給50万年収600万の場合の住民税の控除額は122,900円
では、最終的に住宅ローン控除の適用によって控除された合計額は、それぞれこのようになります。
- 月給30万の場合の合計額は209,520円
- 月給40万の場合の合計額は301,700円
- 月給50万の場合の合計額は400,000円(13,600円の住民税発生)
つまり、月給50万年収600円程度であれば住宅ローン控除の控除限度額である40万円をフルに使えますが、月給40万年収480万円程度の場合は30万円ほどしか控除する事ができないため、住宅ローン控除の恩恵をフルに受けることができないことになります。
ここにさらに配偶者控除や扶養控除が加わるとさらに年収が高くなければ住宅ローン控除で認められる限度額マックスの40万円を使いきることができません。
ちなみに、10年後のローン残高を単純に見積もっておくと、4,000万円の物件を35年ローンで元本均等返済と考えると、4,000万円×25/35=2,857万円となるため、ローン控除の金額は28万円となります。
このタイミングでようやく、月給40万年収480万円の人が使いきれるぐらいの金額になります。
物件の価格が4,000万円に満たない場合などは、住宅ローン控除できる金額も少なくなりますので、想定される年収は低くなります。
なお、普通は賞与の支給がある場合が多いと思います。
その場合は、年収をベースに計算をしてください。
まとめ
住宅ローン控除は、個人の節税としてはかなりの効果がある制度のため、マンションや戸建てを購入する際の大きな決め手となります。
しかし、その効果が大きすぎるあまり、その恩恵をマックスで受けるためにはかなりの年収が必要になります。
さらに、住民税の控除の計算の際に136,500円と所得金額の7%どちらかの限度額も存在します。
人生における大きな買い物である持ち家購入については、税金を上でも慎重な判断が必要と言えます。
息子(2歳)の成長日記
今日の朝、車で税務署に行きましたが、ちょうど奥さんと一緒に家を出たので走って追いかけてきました。
仕事とは言え少し、可哀想なことをしてしまいました。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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