本題
こちらの動画が確定申告期で伸びているのですが、面白いコメントが来たので紹介したいと思います。
最近開業届けを出し、4月から業務委託で働く予定です。小規模企業共済に申し込むか検討中です。仕事がなくなったら、すぐ廃業届けを出し、共済金Aで掛け金を受けとれるのではと考えました。この考えはどのように思われますか?
小規模企業共済は、自営業の退職金としてお馴染みの保険制度になります。
掛金は、全額、税金の節税になって、100%以上で返ってきて、しかもその際に退職所得として貰えるため、まさに節税のためにあるような保険商品と言えます。
しかし、基本的には退職金ということなので、15年以上継続して掛金を拠出しないと100%を超えてこないため、それまで定期預金のように資金が固定されてしまうのが、1つのデメリットになります。
共済金Aとは
共済金Aとは、事業を廃業した場合、または死亡したことを原因とした共済金の払い戻しになります。
コメントの質問者の方は、廃業について、業務委託の終了をもって、廃業届を出すことで、期間の定めのない共済金Aが取れるのかという疑問を持たれたのだと思います。
廃業の条件
※1 複数の事業を営んでいる場合は、すべての事業を廃止したことが条件です。
そして、中小機構のホームページには、このように記載されています。
すべての事業を廃止したことが条件になっています。
すべての事業を廃止したとはどういった状況でしょうか。
実務で似たような場面を想定すると、休眠状態が考えられます。
法人を廃業させずに、休眠状態にして、均等割を回避する状況です。
この場合、売上はもちろんのこと、法人口座の閉鎖など、一切の活動の停止をさせて休眠の届出を出すのが一般的です。
これを、個人事業に当てはめて考えると、業務委託契約の契約満了による売上の停止、事務所の閉鎖、事業用で契約している一切の取引の終了をもって、事業停止したと考えることができます。
廃業届だけでは厳しい?
中小機構のHPに書いている通り、廃業というのは、すべての事業を廃止したことになります。
税務署に提出した廃業届を出すだけが要件ではないように思われます。
廃業というのは、決まった定義があるわけではないので、もし、質問者さんのやろうとしていることを実行する場合は、中小機構に廃業の定義を確認した方がいいと思います。
退職控除は掛ける年数で増える
ただ、退職金で有利な計算ができる退職所得の計算に用いる退職控除は年数に応じて増えていきます。
なので、小規模企業共済の基本的な掛金のスタイルとしては、15年や20年といった長期的なスパンで考えるのが基本になってくると思います。
小規模企業共済は、昔から個人事業主の方の退職金として存在していますが、その中身はややこしくなっています。
性質としては、積み立て型の保険でややこしいのは当然なので、今回のようなコメントはありがたいです。
ぜひ、YouTubeの方でも質問いただければ幸いです。
息子&娘(5歳5ヶ月&1歳5ヶ月)の成長日記
夕食、横に娘がちょこんと座って一緒に食べるのは楽しいです。
野菜スープと納豆がとても好きですね。
阪急塚口駅南に徒歩5分、阪神高速・尼崎インター下車北へ車で5分のところで開業中の税理士・行政書士です。
既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
著書「研究計画書の書き方 Kindle版」発売中
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