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本題
国税庁の対応
10月7日に国税庁から、このような通知がありました。
詳しくはこちら。
内容としては、サラリーマンの副業についての所得区分について、売上300万円以下については、事業所得ではなく雑所得として取り扱うことについて、広く意見を求めたところ、このようなご意見があったという結果報告になります。
通達というのは、確定申告をする上でのルール設定となるため、このルールが設定されてしまうと、今まで事業所得として年100万円ほどの売上を事業所得として申告していたサラリーマンには影響が大きくなるわけです。
なぜこんな通達ができたのか
では、そもそもなぜこんな通達ができたのでしょうか。
その答えは、損益通算という所得税の特典を使えるのかどうかというところにあります。
事業所得では損益通算が可能となります。
しかし、その規模では事業とは言えず、雑所得ですよとなると、この損益通算をすることができなくなります。
損益通算というのは、別々の所得をガッチャンコして計算できる制度になります。
この制度を利用して、副業である事業所得で赤字を出して、サラリーマンの収入である給与所得と損益通算することで、所得税の還付を受ける行為が横行しているので、国税庁が動き出したと考えることができます。
損益通算スキーム(脱税?)
1ヶ月
売上 10万円家賃 8万円→全額経費?
通信費 2万円→全額経費?
水道光熱費 2万円→全額経費?
旅費交通費 1万円→通勤と違う?
新聞図書費 1万円→漫画入ってない?
セミナー代 1万円→売上に関係してる?
車の減価償却 5万円→全額経費?経費合計 20万円
赤字 ▲10万円
年間 ▲120万円→これを給与収入と相殺して節税?脱税?
例えば、1ヶ月の損益がこのような副業をサラリーマンの方がされているとします。
売上は、そうですね、ネットでコンサルをして1ヶ月10万円ほどの収入があるとしましょう。
経費は、家の家賃を全額、携帯代も全額、光熱費も全額、自家用車の減価償却も全額経費にします。
このように、売上があろうが無かろうが、そこに住んでいるだけで発生する支払いを全額経費として申告するだけで、赤字にすることが紙上では簡単にすることができます。
もちろん、税理士である私はこんな申告は請け負いませんけど。
所得税の家事按分
所得税法45条から抜粋
家事上の経費及びこれに関連する支出は、所得税の計算上、経費に算入することはできない。
e-Gov所得税法より引用
所得税の法律上、事業の経費というのは、売上に直接掛かったものに限定されています。
そのため、所得税では家事按分といって、合理的な基準で経費を按分して計算するように定められています。
なので、合理的な基準で経費の按分がされていない申告は、厳密にいうと所得税法に違反していることになります。
上記の例では、例えば、以下のように修正をして正しく申告することが考えられます。
1ヶ月
売上 10万円家賃 1万円→家の面積で作業スペースである家賃の8分の1を経費計上
通信費 0.5万円→仕事ではインターネットを利用しているため、その分だけ計上
水道光熱費 0.5万円→水道、ガスは使わない、電気代の半分を経費計上
旅費交通費 0万円→通勤でしか使用していないので、計上しない
新聞図書費 0.5万円→漫画を除いたビジネス書だけ計上
セミナー代 1万円→副業に関するセミナーなので、経費計上
車の減価償却 1万円→週末に副業に関連して使用するので、5分の1を経費計上経費合計 4.5万円
黒字 5.5万円
年間 66万円の黒字
これであれば、事業と言われてもそこまで違和感はありませんし、税金の還付とはならないので、税務署もめくじらを立てることもなかったと思います。
事業なのか
そもそも論になりますが、赤字続きの事業を2年も3年も続けるのかというものがあります。
事業所得になるのか雑所得になるのか。
損益通算をする目的のために赤字の申告を何年もやっているというのは、事業ではありませんと言っているようなもので、今回の通達については、横行する副業の脱税もどきについてメスを入れた改正と言えます。
赤字にして損益通算して税金を少しでも少なくしたいという気持ちは分かりますが、所得税法という法律に違反しているという自覚もなく申告してしまっている可能性があることも認識しておく必要があります。
まとめ
副業売上300万円以下は雑所得と考えるという通達は、所得税の法律に従うと当然に黒字になるはずの計算を強引に赤字にした上で、所得税の還付を受けるスキーム(脱税?)になります。
一つ言えることは、確定申告というのは100%自己責任による国への申告になりますので、知識のない自称コンサルに騙されないようにしましょう。
息子&娘(5歳1ヶ月&1歳1ヶ月)の成長日記
娘が、口をへの字にして、ブーとやるのですが、私たちが笑うと得意になって何度も繰り返します。
全力でやってくれるのはいいのですが、あまりにもへの字が強烈なので、やってくれるのはいいのですが、やりすぎるのは女の子なので心配になります。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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