まいどおおきに!
税法大学院合格コンサルタントのTOMOYUKIです。
さあ、会社でも設立しようかなと思った時に迷うことの1つに会社形態を株式会社にするのか、合同会社にするのかといった悩みが生じます。
会社法上は、合同会社は持分会社に分類され、持分会社の法律が適用されますが、実務上は株式会社も合同会社も似たようなものとして扱われる場合が多いです。
合同会社の最大のメリットは、設立費用が安いということです。
次のメリットとして、株式会社ほど厳密に会社法に縛られないというメリットがあります。
しかし、例え縛られないとしても会社の定款を書き換えたりする必要があるため、ある程度会社の組織についての知識がないと変更などすることは難しいでしょう。
まあ、1人社長の場合は、定款をいじって株主対策をする必要性は低いのでテンプレ化された定款で法人設立しておけば大きな問題は起こりません。
前置きが長くなってしまってすいません。
では、タイトルでも付けた『社長という肩書きは正式な名称ではない?』。
これについて話をしていきたいと思います。
会社法上、代表取締役が正式名称
会社法というのは、条文の数は全978条まであり、会社の設立方法から役員の選任方法、会社の解散方法など、会社に関わるありとあらゆる規定を定めている法律になります。
また、公認会計士受験の必須科目になります。
記憶に新しいライブドアのホリエモンがニッポン放送の株式を大量に買い占めていたが、これは、会社法上の規定の中で有利なポジションを取るための戦略である。
参考『http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/sub/sub_gensya/Economy/Company/livedoor.htm』
社長というと、会社のトップを指す名前で、私もクライアントに声をかける時によく使います。
しかし、『社長』という言葉は自体は会社法に定義規定があるわけではなく、日本の商慣行から生まれた俗語になります。
会社法上、社長に相当する正式名称は、『代表取締役』になります。
まあ、社長を名乗って行った行為は代表取締役が行った行為とみなされる規定も存在するため、会社法上も社長の存在は無視されていません。(会社法354条【表見代表取締役】)
会社法の条文を見て頂けると分かりますが、代表取締役や取締役の規定は複数存在しますが、社長について定めた規定は存在しないということです。
会社法上、合同会社の社長の正式名称は代表社員
上記を踏まえた上で、合同会社の話に移りたいと思います。
合同会社はさきほど言ったように会社法上”持分会社”に該当します。
持分会社の条文は全101条になります。
会社法の条文の数が全978条だったことを考えると、持分会社の条文数は申し訳程度に規定されていることが分かります。
そして、会社法599条(持分会社の代表)に社長に相当する人物の正式名称が書かれています。
それは、代表社員です。
これには、理由があります。
持分会社と株式会社の大きな違いの1つに株主と取締役が一致するか否かという点があります。
持分会社においては株主と取締役が一致することが前提となります。
俗に所有と経営が一致していると表現されます。
そして、会社法において、株主のことを”社員”と呼びます。
つまり、株主である社員が経営もすることが予定されているため、持分会社の社長は代表社員となるわけです。
これは聞いた話ですが、合同会社の社長が法人通帳を作った時に、”代表取締役”の肩書で作成していることがあったそうです。
これは、会社法的には完全にアウトです。
合同会社に代表取締役は存在しません。
それが作れてしまう銀行も銀行ですが。
合同会社の設立が許容できる場合
さて、これまで合同会社の社長について見てきましたが、合同会社というのはまだまだ知名度は低いと考えています。
現在noteで販売中の私が税法大学院に合格した時の研究計画書にも書いていますが、取引相手が合同会社を知らないまたは理解していないことが原因で契約が巻けなかった事例もあります。
そのため、対外的に交渉を必要な業種などであれば、初期の設立費用をケチって合同会社を設立してしまうと、後で後悔することになりかねません。
一応、株式会社に組織変更も出来ますが、それに伴って銀行口座名義や事務所契約などを変更する手間が生じるため、出来るだけ設立時に株式会社と合同会社のどちらにするのかは決めておいた方が無難だと言えます。
法人設立100社以上関わってきた私からみて、以下の条件であれば合同会社の設立が許容できると考えています。
●親会社があって、下請け業務を受けることのみを生業にしている場合
●不動産賃貸収入などの固定収入のみの受け皿のために設立する場合
●個人事業主で、仕事の一部を節税目的などで会社に請けさせる場合
●上記を踏まえ、総じて会社の名刺を使って対外的な営業を一切行わない場合
アメリカ版合同会社の特徴
ここからの話はちなみにというような内容のため、ご興味のある方だけご欄下さい。
アメリカにも州法で日本の合同会社のような会社組織の形態が認めれています。
それは、LLC(Limited Liability Company)と言われる会社形態になります。
このLLCは、日本の合同会社と違って大人気で、平成22時点で米国の全法人の71%がこのLLCの形態で設立されています。
その理由は、税法の課税制度が原因になっています。
LLCでは、パススルー課税という方法で課税するかどうかを納税者が選択できます。
パススルー課税というのは、法人税を計算せず、個人の段階で法人の利益を含めて計算するという少し変わった課税方法です。
そのため、LLCの社長は税務申告する際に税金が安くなる方を選択して納税することが可能になります。
日本の税法では、株式会社と合同会社は同じ法人税法が適用されるため、合同会社を設立しても税法上有利な計算は出来ません。
日本の合同会社(平成26年時点で全法人のわずか1.5%)と米国のLLCでこれほど普及率に差がある原因の1つはここにあります。
まとめ
株式会社と合同会社の設立費用の差は約14万円です。
決して安い金額ではありません。
ただ、私の経験上、合同会社を設立するメリットは少ないと感じています。
パススルー課税が使えれば話は変わってきますが。
息子の成長日記
こちらの言葉をだいぶ理解してきているようです。
嫌や~を連発してきますが、『食べる~?』と聞くと嫌や~と言わず考える素振りを見せます。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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