まいどおおきに!
税法大学院合格コンサルタントのTOMOYUKIです。
よく会社で黒字企業は3割であと7割が赤字だといった話を聞くことが多いと思います。
でも、赤字会社の7割がすぐに倒産しているかというとそんなことはありません。
普通に営業して売上を上げています。
逆に黒字倒産といって黒字であっても倒産する会社があります。
なぜこのようなことが起こると思いますか?
莫大な資本があったり、借入が出来ているといった理由もありますが、そのようなお金の余裕がない場合でも倒産しない場合があります。
今日はそのからくりを簿記の知識を使ってわかりやすく解説したいと思います。
減価償却費で赤字
車を買ったり、建物を買った場合は固定資産として会社の帳簿に表示されます。
この時に会社に現金があればそれを使って購入するでしょうし、現金が少なければローンを組んで購入するでしょう。
この時に現金で買うかローンを組むかで利益への影響はほぼ変わりません(ローンを組むと利息が若干増える程度)。
さて、この状態で決算を迎えました。
固定資産を持っている場合は減価償却ということを行わないと行けません。
減価償却は会社が任意で行う処理になりますので、強制ではありませんが、会社の状態を正しく反映させるためには行うべき処理になります。
分かりやすくするために例を上げたいと思います。
500万円のレクサスを購入して、200万の減価償却をしたとします。
決算を組んだ時に減価償却をしなければ0円、減価償却をしたらマイナス200万円になったとします。
しかし、この時お金は1円も出て行っていません。
なので、赤字だからといっても会社の資金は減っていないため、これが原因で倒産することはありません。
さらに、ローンで購入していた場合は、500万のレクサスの返済を50万円だけしかしていないのに経費は200万円発生しているといったことが起こります。
つまり、150万円は一切会社資金は出ていっていないのに200万円の赤字といった状態は起こりえるということです。
役員報酬で赤字
まず、分かりやすくするために、ある場面を想定します。
社長が役員報酬を毎月60万円会社から支給を受けている場合を想定します。
すると、年間で720万円の役員報酬が経費として会社の決算書に表示されます。
そして、決算を迎えました。
決算を整理すると、赤字の200万でした。
役員報酬は自由に変動が可能(縛りはありますが、)なので、例えば月額42万円に設定しておけば、年間504万円でしたので赤字にはならなかったわけです。
ここで会計には、社長借入金という考え方があります。
特にひとり社長の場合に頻繁に使われる勘定科目になります。
ひとり社長の場合、会社のお金を自由に引き出すことが出来ます。
逆に役員報酬について貰わないという選択も出来ます。
年間720万円(実際には税金や社会保険を控除されますが、説明の都合上ここでは省略しています。)のうち500万円しか会社から貰わないということもできるわけです。
そうすると、220万円は会社の経費になっていますが、会社のお金は動いていないわけです。
では、この220万円がどこにいくのかというと、先程お話した社長借入金に行きます。
会計上は、社長が貰うべき役員報酬を受け取らずに、それを会社に貸付けたとして処理され、会社では社長借入金として処理されます。
支払いサイトが長い場合
よく会社を継続させるための格言で、受取は早く、支払いは遅くと言われることがあります。
これは、会社の資金繰りをよくさせる意味でとても重要な言葉です。
どんなに赤字だとしても、会社にお金さえあれば会社は潰れません。
たまに、毎年赤字でもへっちゃらな会社がありますが、それは社長がもともと資産家か借入金の返済をリスケジュールして踏ん張っている場合のどちらかのケースが多いです。
ここでも分かりやすくするために例示を示します。
売上が現金売上で、仕入が手形支払いの会社があったらそれは資金繰りの面で考えると非常に良好な会社といえます。
掛け売上に対して現金売上が有利なのは当然として、仕入れについて手形を発行してその支払いサイトが6ヶ月だとします。
つまり、仕入れをしてもその会社は支払いを6ヶ月先延ばしにできるわけです。
さて、このような会社が決算を迎えました。
先程の例示と同じように赤字が200万円発生したとします。
その原因が仕入だったとしましょう。
6ヶ月の手形での支払い合計が200万だったとしても会社のお金は一円も出ていません。
それでも経費として200万が計上されているという状態になります。
経営という意味では非常に安定する会社といえますが、仕入れの相手先は逆に入金サイトが遅い売上になりますので、下請け先には厳しいものといえます。
このような手形の取引は主に建築業では比較的多い取引形態になります。
社長貸付金が出てきたら要注意
ここで決算書を見る時に注意して見て頂きたいポイントをお伝えします。
それは、『社長貸付金』という勘定科目です。
この科目の意味は、会社が社長に対してお金を貸しているという状態を示すものになります。
【社長借入金】と似ているので混同しがちですが、意味合いはまったく違います。
社長借入金については、ある程度あっても問題ありません。
しかし、社長貸付金が出てくるということは、会社の資本金もしくは銀行からの借入金が経費以外の理由で会社の外に出ていっていることを意味します。
社長貸付金が発生する理由はいくつかありますが、これが発生しだすと役員報酬の金額を見直すか経理面を見直す必要があります。
社長に見に覚えがない場合、最悪、従業員が横領している可能性も考えられます。
まとめ
黒字倒産はよく聞くと思いますが、赤字でなぜ会社が潰れない理由はあまり聞いたことがなかったのではないでしょうか。
その理由の1つは、会社経営している人や経理のチェックをする会計事務所では当たり前のことなので、あえて説明する必要もないということが考えられます。
まあ、黒字倒産の方がインパクトが強いですしね。
赤字継続ってあまり聞いたことがないですよね。
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いつもは、自宅で執筆していますが、今日は、クロムブックを使って喫茶店でブログ執筆。
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