【登録時研修3日目】通達が間違っていることもある!通達と最高裁の位置付けについて

みつばち会計事務所の丸山です。

今日は税理士登録時研修3日に行われた大阪大学大学院教授の谷口先生の講義について印象に残ったことについてまとめました

 

2日目の田中治教授の講義についてはこちらの記事でまとめています

【登録時研修】租税の世界は縦社会 田中治教授の講義を聞いて

当時の通達が正しくない例

  • 親子間ゴルフ会員権贈与事件(最高裁判決平成17年2月1日)

 

  • 生命保険年金二重課税訴訟(最高裁判決平成22年7月6日)

 

  • 競馬事件(最高裁平成27年3月10日)

谷口教授の講義では通達はとても大事なものだけど、必ずしも正しいことを示す

ものではなく、過去の裁判でも通達に反する最高裁判例が出ている例を示されていました

 

これらは大学院で修士論文を書く際にも非常に有名な判例になります

 

租税の裁判は以下の流れで発生します

①納税者が無申告または税額を少なく申告

②税務署が申告を決定する

③②に不服のある納税者が国税不服審判所に訴える

という流れになります

 

②の時に税務署が判断の拠り所にするのが通達であって私たち税理士がより所にするのも通達になります

 

しかし 通達は税務署内の伝達の手段であって納税者の申告を強制的に縛るものではないということです

 

その点について谷口教授は詳しく説明をされていました

 

ただし 谷口教授は合わせて通達はよく考えられていて実務判断は通達によるべきとも付け加えられていました

 

ちなみに上記の判例については租税判例百選【第6版】にも収録されていて

  • 親子間ゴルフ会員権贈与事件(最高裁判決平成17年2月1日)

No44 譲渡所得における取得費の引継ぎーゴルフ会員権贈与事件

 

  • 生命保険年金二重課税訴訟(最高裁判決平成22年7月6日)

No32 非課税所得ー生保年金二重課税事件

 

  • 競馬事件(最高裁平成27年3月10日)

No45 一時所得と雑所得の区分

租税の判例で最高裁まで進む裁判というのは少ないですし貴重です

 

租税判例百選でもこれらの事件の概要、判例の要旨、専門家の解説を確認することができます

 

ちなみにNo45 一時所得と雑所得の区分については 登録時研修の2日目に登壇された同志社大学教授の田中治先生が解説をされています

 

こうして見ると税理士の登録時研修がいかに力を入れて開催されているのかが分かります

 

また 税務の世界が比較的狭い世界だと思います

 

私も修士論文執筆の際はまた教授が書いているんだという本に何回も遭遇しました

 

最高裁判所の仕組みについて

谷口教授は最高裁判所の位置付けについても解説をされていました

 

みなさんもご存知の通り最高裁判所は司法の中の最後の審判をする機関になります

 

そのため最高裁判所が決まったことというのは その後の類似事例が発生した時の法律の適用根拠になります

 

最高裁判所は第一小法廷から第三小法廷までありそれぞれに裁判官が5名ずつ配置されています

 

そして最高裁判所にはもう一つ大法廷というものがあります

 

この大法廷というものは事件の中でも特に重要だったり憲法に違反していないかの違憲裁判が行われたりしますが、違憲裁判の中でも違憲の可能性の高いものについて特別に開かれる法廷になります

 

そしてこの大法廷では第一から第三の小法廷の裁判官が全員集まって15人で判断をするものになります

 

租税の判例でこの大法廷の裁判が行われた超有名な裁判が大嶋訴訟(最高裁昭和60年3月27日)になります

 

租税判例百選の堂々のNo1 に収録され さらに租税法の世界では最も師事されている金子教授が評釈されています

 

今回の谷口教授の講義でもこの大嶋訴訟の話がされており 納税者敗訴になり納税者の訴えは退けら違憲とならなかったのですが裁判官から意見が出されています

 

意見というのは以下の3つに分類されます

  • 反対意見

 

  • 補足意見

 

  • 意見

この権利は最高裁の裁判官にのみ許されています

 

詳しくは弁護士の方がブログで書かれているので参考にしてください 

 

最高裁判所の裁判だけ各裁判官の『意見』が表示されるわけ

http://www.hamakado-law.jp/blog/2015/12/post-91-171151.html

 

こういった点をみて大学院の入試や修士論文の作成の際のテーマ選びの基準にしても良いかもしれませんね

 

谷口教授の著書

今回の谷口先生の講義は以下の著書を参考にして話されていました

 

ご興味のある方はぜひご購読ください

 

 

まとめ

通達がいつも正しいとは限りません

 

それは租税の著名な教授も言っていることです

 

しかし 実務をしていて思うのは通達がないと判断に迷うことも確かです

 

税理士に求められるのは法令を正しく理解した上で きちんと通達の内容を納税者に伝えることだと思います

 

編集後記

その道のプロの方というのは3時間だろう4時間だろうと聴けますね

 

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