【研究計画書の処方箋】雑所得の損益通算から暗号資産

本題

雑所得については,元々損益通算が認められていたが,昭和43年度税制改正により,損益通算の対象から除外された。その理由としては,①雑所得については必要経費がほとんどかからないか,かかっても収入を上回ることのないものが大部分であり,また,②ある程度支出を伴うものについても,その支出内容に家事関連費的な支出が多く,損益通算を存置する場合にはかえって本来の所得計算のあり方について混乱を招くおそれがあるため,と説明されている。「「雑所得の損益通算の可否」租税判例百選(第7版) (Japanese Edition) (p.397). Kindle 版.

所得税の中に雑所得というものがあります。

雑所得とは、給与所得や事業所得、不動産所得など9種類の所得に、当てはまらないものと言われています。

つまり、雑所得というのは、所得区分のはみ出しものといった感じのもので、これに分類されると、損益通算ができません。

会計事務所の経験があれば、雑所得は損益通算ができないのは当然ですが、古くは昭和43年より前の時点では損益通算できる時代がありました。

昭和43年度税制改正で、雑所得の損益通算はできなくなってしまったということです。

その理由の一つに、①雑所得については必要経費がほとんどかからないか,かかっても収入を上回ることのないものが大部分であることがあがっています。

この理由ですが、暗号資産に置いても、①の理屈が当てはまるでしょうか?

例えば、暗号資産で、大損することもありますし、現にそういう人がたくさん出ました。

それでも、暗号資産はよほどのことがなければ雑所得に区分されるため、大損をしても損益通算できないことになります。

昭和43年にもちろん暗号資産はないわけです。

その時の改正がそのまま適用されるのはいかがなものかなと思います。

だからと言って、法律を変えることは政治家の仕事なので私達ができることではありません。

そこで、考えるのがタックスアンサーの解釈となります。

問 暗号資産取引により生じた利益は、所得税法上の何所得に区分されますか。

暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得に区分されます。

ただし、その暗号資産取引自体が事業と認められる場合は事業所得となる

※暗号資産取引自体が事業と認められる場合とは、暗号資産取引の収入によって生計を立てていることが客観的に明らかである場合

令和3年12月 国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)より引用

国税庁は、暗号資産は原則、雑所得ですが、事業所得になる可能性も残しています。

だから何が言いたいのか

研究計画書というのは、鮮度が大事だと思っています。

少し前に話題になった馬券訴訟、ここ5、6年でこれを題材に研究計画書を書いた受験生はかなりいたはずです。

それを教授は何枚も見てきたことが予想できます。

大事なのは、そんな数ある研究計画書の中で、教授に対して少しでも修士論文が書けそうな可能性を示すことです。

大事なのは、書けることではなく、可能性です。

なので、時事ネタに尽きない暗号資産、令和3年12月に国税庁から公式に出た暗号資産の扱いと絡めて、損益通算についての研究という鮮度重視のひとネタもありだと思います。

そのあと、どう研究するか考えるのは、あなた自身です。

それは、読み込んだ参考文献が教えてくれるはずです。

 

息子&娘(4歳11ヶ月&0歳11ヶ月)の成長日記

最近は、息子と一緒にお風呂に入っているのですが、水鉄砲で遊んでいます。

やっぱり、息子と本気で遊べるのは父親の役目だと思います。

終わった後は、息子が本気で楽しんでくれたか、気になります。

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