私が参加している会計事務所向けグループチャットで紹介して貰った影山知明氏の『ゆっくり、いそげ』の経営哲学が、とても良かったのでその一部を紹介したいと思う。
▼目次
クルミドコーヒーとは!?
クルミドコーヒー、東京の国分寺にある1店のカフェの名前であるが、そのカフェオーナーが影山氏だ。
同氏の経歴を簡略に記載すると、東大卒のマッキンゼーで経営コンサルタントをしていた。バリバリのエリートだった。その影山氏が、30歳半ばにして未経験のカフェを開業することになるのである。
本著でも触れられているが、経営コンサルタントとして経営には自信があったが、オープン当初は出来ないことだらけだったと書かれている。そこで、自分だけでなくまわりの人にも助けてもらい、また自分もまわりを成長させる『他力本願』という言葉を使ってご自身のオープン当時の様子をリアルに描かれている。
クルミドコーヒーの特徴は!?
同店のコーヒーは1杯の値段が650円に対して目の前100m先の駅に近いチェーン店では、その3分の1の価格で提供されている。
店舗の特徴としては、店名の由来になっているクルミを自由に食べていいシステムで、クルミ割り器がテーブルに一緒に置かれている。お客様はこのクルミを自由に食べることが出来る。また、このクルミは国産クルミを使用しているそうで、外国産が1キロ1,000円のところ、普通に仕入ると3,000円するそうだ。これは経営努力で2,000円で仕入れをされているということだが、その経営努力も熱い思いで描かれているのでぜひ本著を手に取って頂きたい。
1キロ2,000円のクルミを無償提供されているというのは、経営コストで考えるとかなりの負担になる。
少し会計的な視点を挟ませて頂くとクルミの消費量によって売上は変動しないため、クルミを仕入れてはいるが、全額固定費なので、消費されればされるほど利益を食いつぶしてしまう。
『受贈者的な人格』と『健全な負債感』とは!?
(出所)本著『ゆっくり、いそげ』から引用
『ご自由にどうぞ』と書かれているとごっそり持って帰られるないの?と心配になる。
これに対し同氏は『受贈者的な人格』を持っているお客さんにとって、クルミをたくさん消費することは『健全な負債感』を増やすことになるから、そこには一定の歯止めがかかると語っている。
本著では冒頭から終わりまでで、『健全な負債感』というワードが多用されている。
この『健全な負債感』は本著では、店側からお客様に先に与えて(ギブ)おけばそれを受けた人(本著ではこれを『受贈者的な人格』と言っている)は、それを返さなきゃという気持ちが本能的に芽生えると描かれている。
『消費者的な人格』とは!?
これと対照的にクルミドコーヒーがポイントカードをやらない理由の章でも記載されているのだが、割引きシステムなどを導入するとお客様の『消費者的な人格』を刺激することになってしまう。そのような『消費者的な人格』を刺激されたお客様は同じだけ支払うならできるだけ多くを手に入れようと考えるから、テーブルの上に置かれたクルミなど格好の標的になってしまうと。
つまり、同氏にとってクルミを自由に提供することは、お客様が『消費者的な人格』になっていないか測るの一種のバロメーターとして考えているので、『クルミは1人1個です』などとはせずに、『ご自由にどうぞ』としている。
おわりに
本著では、この『健全な負債感』の連鎖が価値の交換、つまりサービスとお金の交換を生み出すことになり、ひいてはGDPの成長にもつながるかもしれないとおっしゃっている。
売上が上がってこないと値引き商法に走ってしまいがちな昨今、そのような値引き商法は『消費者的な人格』を刺激することにつながるため、クルミドコーヒーのようなギブから始まる経営戦略を取ることはデメリットの方が大きいかもしれない。
また値引き商法では資本力に恵まれたチェーン店には太刀打ちできないだろう。
個人で事業を行う上で、この『健全な負債感』というキーワードからは学ぶべきことが多いと感じる。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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