本題
美容師の方というのは、独立の多い職種かと思います。
修行期間があって、独立しやすい業種という意味では税理士と似たところはあるのかなと思います。
しかし、税理士業と明らかに違うところは内装工事やシャンプー台の設置など償却資産と言われる動産を設置しなければいけないところだと思います。
規模によっては数百万の初期投資が必要になることもあるでしょう。
特に内装工事を入れるとなると、工務店と契約して、工事完成受け渡しという流れになります。
そんな時、注意していただきたいのが消費税の届出のタイミングになります。
平成29年に国税不服審判所にて、次のような採決が示されています。
太陽光発電を行う個人事業者の採決事例
平成25年9月30日に、業者と工事請負契約を締結した。
(工期は、着工時期が平成25年9月30日、完成が平成26年5月30日とする。)平成25年10月30日に、契約金を支払った。
平成26年5月30日に融資を受け、着手金を支払った。
平成26年8月28日に融資を受け、残金をH社に支払った。
平成26年8月7日に、同年7月26日と開業日を記載した「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出した。
平成26年12月22日に、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した。
国税不服審判所「事業を行うために必要な準備行為を行った日の属する課税期間は「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たるとした事例」参照
問題点
この事例で、納税者である個人事業主にとって何が不利益になったかというと、消費税における開業の日がいつなのかという点になります。
これがいつになるのかで、消費税の納税義務者となることで、太陽光発電工事によって生じる支払った消費税(本体価格の10%)を還付できるかどうかが変わってきます。
というのも、消費税課税選択届出書というのは開業日の年であれば、年末までに提出すれば、その年から効力が生じさせることができます。
しかし、開業の後に提出すると、翌年からの適用となってしまうのです。
今回の事例では、平成25年9月30日における工事業者との契約締結のタイミングが開業準備行為と税務署から指摘を受けたため、平成26年12月22日に提出した消費税課税選択届出書の効力は平成27年以降となったため、高額であろう太陽光設備に係る消費税の還付が認められなかった事例です。
インボイス制度への対応
令和5年10月以降に開始したインボイス制度によって課税事業者になる場合、特例によって開業日の年中に登録申請書を提出することで、1月1日からインボイス制度の適用を受けることができることとなっています。
ただ、上記のように消費税の開業日については、開業準備行為があった日とされた裁決事例があるため、もし、年内に契約書を巻いて、工事の完成が翌年になるような場合は、売上がなくても契約した年内に届出書を出しておけば安心と言えます。
インボイス制度による消費税の課税事業者の申請は、厳密にゆうと上記の裁決事例における消費税課税選択届出書を提出するルートとは違う制度による方法になりますが、消費税法における開業日と所得税法における開業日というのは違いますので、その点は注意が必要と言えます。
まとめ
大きな設備投資をする際ですが、契約書の締結などの時点が開業準備行為として、消費税における開業の日とされた裁決事例があります。
消費税の還付を目指す場合は、消費税の課税選択をする必要がありますが、開業日の属する年か否かでその適用となる年度が違います。
また、インボイス制度においても消費税法で開業日を考える必要があるため、大きな工事契約を行って開業しるような業種の方は、早め早めの届出を心がけておく必要があると言えます。
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