本題
得する場合
消費税法第5条
事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、この法律により、消費税を納める義務がある。
事業をして、継続的に取引を行った人は、消費税を納税する義務が生じます。
税理士試験で消費税法を受験すると教科書の1ページ目に記載されているほど有名な条文になります。
消費税法第9条
事事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。
そして、法人を設立する事業者のほとんどは、こちらの納税義務の免除規定を使って、1年目、2年目と消費税を納める義務を免除することになります。
しかし、逆にあえて消費税を納める場合も存在します。
それは、得をする場合です。
売上ー仕入=消費税
消費税の簡易課税制度は置いておいて、消費税の計算は、売上ー仕入で計算するとても単純なものです。(8%10%が混在したり、非課税があったりと実際計算するのは手間なのですが。)
例えば、
100ー50=50
この場合は、納税することになります。
しかし、
50ー100=▲50
になった場合はどうなるでしょうか。
この場合、国からお金をもらえます。
そんなことあるの?
という感じですが、ありえます。
例えば、赤字の場合や、車や事務所のような非常に高額の資産(土地は非課税なので関係ありません。)を買ったような場合になります。
特に、設備投資がかさむ法人設立1期目に起こりやすい現象になります。
調整対象固定資産
消費税はこのように、計算構造自体は非常に簡単なので、還付を簡単に行うことができてしまいます。
しかし、例えば、今年は車を買って、国からお金を貰って、来年は消費税を免税にしようなどと好き勝手にされたら、国もたまったものではありません。
国は、お金を出すことを非常に嫌います。
それに、税金は公平なものであるという趣旨にもそぐわなくなってしまいます。
なので、免税からあえて消費税の納税を選択する場合は、最低2年間、さらに車(100万円以上の資産)などの高額なものを購入した場合は、さらに1年追加の最低3年間消費税の課税が強制されます。
なので、1年目はあえて消費税の課税を選択して国からお金を貰ったとしても、2年目、3年目が消費税の納税になるようであれば、トータルで損をしてしまう場合もあるので、消費税の選択は中長期的な視点で検討する必要があります。
インボイス制度
これまで、消費税が免除になるからという理由は、法人を設立するメリットとしては大きなものでした。
しかし、もうすぐこの考え方は大きな変換期を迎えます。
それは、インボイス制度の導入です。
インボイス制度とは何かを説明しだすと、長尺な文章になるので、ここでは割愛しますが、簡単にいうと、これまでのように免税を選択しにくくなる制度が始まると考えてください。
それが、令和5年10月1日から開始される予定です。
もう目の前に迫ってきています。
例えば、今日(2021/03/12)法人を設立して、600万円の車を購入して、国からお金をもらうために消費税の納税を選択した場合。
第1期 令和3年3月12日〜令和4年2月28日 消費税強制課税
第2期 令和4年3月1日〜令和5年2月28日 消費税強制課税
第3期
令和5年3月1日〜令和6年2月28日 消費税強制課税←インボイス制度開始
第4期 令和5年3月1日〜令和6年2月28日 消費税強制課税
第5期 令和6年3月1日〜令和6年2月28日 免税可能
もし、今日から消費税の課税制度を選択した場合は、都合、第4期まで強制的に課税となります。
しかし、第3期の途中からインボイス制度も開始されるため、インボイスの発行が必要な会社は、そのまま課税を選択することになります。
このように、インボイス制度まで視野に入れると、消費税の選択というのは非常に複雑になります。
まとめ
消費税は、毎年のように改正が入り、どんどん単純に判断できる税金ではなくなってきています。
税理士でも消費税は厄介な税金です。
ミニマム法人を設立すると言っても、1人の大人が法律上誕生するようなものなので、簡単に運営は難しいということになります。
編集後記
今日は、新しいクライアントさんの会計の整備と確定申告を進めていきます。
息子(3歳6ヶ月)の成長日記
怒られるか試して行動することがあります。
例えば、私の部屋の炭酸水のボトルを1本取って、ニヤニヤしながらゴミ箱に捨てにいきます。
ヨガ日記
今日も、朝7時から朝のピラティスを受講。
レッスン最後のワイドスクワットからのバウンドはかなり辛かったです。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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既婚で、7歳の男の子と3歳の女の子の父親です。
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