まいどおおきに!
株式会社スカイクラウドのTOMOYUKIです。
私は、時々医療系の本を読むことがあるんですが、たまたま読んだ「医心電信」という本が目からうろこのことが多かったので、少し紹介させて頂きたいと思います。
本の中で、日本人は海外の人と比べ医療機関を受診する回数が多いと言われています。
それは、日本の医療制度が診療価格を一定の金額に収まるように設定されているからです。
目次
医心電信とは
朝日新聞デジタル「アピタル」のコラムから本になった
アピタルとは、朝日新聞デジタル版の中の医療コラムを集めたコーナーです。
ここでは、全国の医師から集めた医療系のコラムばかりを多数掲載されている。
そのアピタルの中で、2011年から毎週1本のコラムを書き続けた医師の酒井さんのコラムを集めた本である。
コラムは、非常に書き手の性格が出る文章だと思います。
このコラムは、医師の立場から医師と患者について本音で赤裸々に綴られているところに非常に共感しました。
著者の酒井健司さんとは
著者の酒井医師は、福岡県の原土井病院に勤務されている内科医である。
アピタルの冒頭のコラムで「死ぬなんて聞いていない」というコラムがあります。
このコラムが酒井医師のアピタルでの最初のコラムです。
このコラムの中で、酒井医師は、現在医師が仕事をするにあたって、ネットは不可欠ですと語っています。
内容は、ネットの書き込みの中に「父が亡くなりそうなのですが、『覚悟しておいてくださ』と何度も医師がしつこく念押します。責任逃れのように感じます。ネガティブなことは一回聞けば十分です」というご家族の書き込みを読んだ酒井医師の思いが綴られています。
例えば、患者ががんのケースで気が動転している家族に一回言っただけでは伝えることは難しいので、何回も説明する癖がついていて、医師が何度も念を押したのはそんな理由があったんではないですかと説明されています。
しかし、「一回聞けば十分」と考える人もいることを念頭に置いて、責任逃れとかんじられないように配慮することで、少しはましな説明になればいいなと思っているそうです。
ここから、酒井医師の患者に向き合う姿勢についてとても謙虚な姿勢が伺えます。
さらに、医師に面と向かって不満をぶつけられない人もネットで呟けるので、ネットは非常に便利と考えられておられます。
患者さんが知らない意外な話
何度も同じことを聞かれ、イラっとしても(2012年6月11日掲載分)
このコラムでは、問診票に書いたことも再度聞かれた患者からの不満で「同じことを何度も聞かれる」という声を聴いた話です。
ここで酒井医師は、何度も聞く理由として新しい情報が得られる場合があることを挙げられております。
聞くことで、問診表通りの答えが返ってくることもあれば、「熱が出て、咳がひどいので来ました」のように、問診票に書かれていない新しい情報が出てくる時もあるとのことです。
看護師さんなんかは、自分が聞きそびれたことをよく聞いてくれるそうです。
私も職場で何度も同じことを聞くなとよく怒られましたが、それは社内での話です。
医師と患者の関係においては、1つのミスが重大な事故に繋がりかねませんので、大事なことは何度でも聞いて確認することが大切なのですね。
近所のおばちゃんのアドバイス(2012年9月3日掲載分)
この話は、親戚でもない赤の他人に治療が妨害された話です。
近所のおばちゃんのアドバイスで慢性C型肝炎の鈴木(仮名)さんの治療が中止になったそうです。
当時、インターフェロン療法という慢性C型肝炎の標準的な治療だったそうです。
成功すれば将来肝がんになったり、肝硬変になり危険がかなり減りますが、副作用もありウイルスをうまく排除できない場合もある治療らしいです。
しかし、鈴木さんは、近所のおばちゃんから知人がインターフェロン療法を受けて、副作用がきつかったにもかかわらず、効果がなかったことを聞き、インターフェロン療法をキャンセルしたそうです。
酒井医師は、この実例について、近所のおばちゃんは医学については素人で、インターフェロン療法の治療成績や鈴木さんの病状を十分考慮したことではなく、たった一例で医学的なアドバイスを行うのは無責任と言わざるを得ないと警鐘をならしています。
こういったことは日常でよくあることじゃないでしょうか?
何かの拍子で医師より、近しい人の意見で気持ちが揺らいでしまう。
しかし、その近しい人は医学の専門知識を持っているでしょうか?
病気で大変な時期だからこそ客観的に考えることが大事だと思わせられる事例だと言えます。
医療にまつわるお得情報
大病院に行くなら紹介状(2011年10月10日掲載分)
今でも当たり前かもしれませんが、大病院に紹介状なしで受診すると、追加料金を求められることがあり選定療養と言います。
大病院とは簡単にいうとベッドの数が200床以上の病院になります。
大病院に初診にいく場合は、紹介状がないとこの選定療養が掛かり、この選定療養は各病院が自由に決めることが出来ます。
酒井医師は、海外には自由に病院を選べない国もあり、日本のようにフリーアクセスの場合は、選択肢が多いというメリットはあるものの、医療資源の無駄が起こるデメリットも指摘しています。
また、酒井医師は、病気の種類が特定できない段階では、大病院よりも、診療所の医師の方が診るのが得意なことが多いといいます。
「診療所でよくならないから、大病院で診てもらおう」という場合でも、それまでの経過は大事な情報なので、ぜひとも紹介状を書いて貰うべきだとアドバイスをされております。
また、紹介状の点数は250点になります。
3割負担にして、750円。1割負担なら250円です。1病院ごとという決まりがあるので、2箇所なら2通分になります。
(出所)厚生労働省PDF「外来医療(その2)紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について」
(出店)健康保険や高額療養費、医療費のことを女性が教えます。「病院でもらう紹介状の料金は1通いくら?持参なしで大病院受診を比較。」
医師を選ぶための3つのポイント(2014年7月7日)
丁寧さについて、酒井医師は、平均すれば診察や説明が丁寧な医師は医学的な技量も優れている傾向になるとおっしゃっています。
性格が合う合わないはどうしてもあります。
相性について酒井医師は、かかりつけ医を選ぶ段階であれば、ある程度は相性で医師を選んで良いと思うとおっしゃっています。
酒井医師は、近さについて、これを言うと身も蓋もないといいつつ、近さについては多少の技量の差は逆転するとおっしゃっています。
まとめ
今回、医療系のコラム集は私自身初めて読めました。
初めて知ることも多かったですし、患者側としてとても参考になりました。
今回とりあげなかったですが、風邪を薬でごまかして頑張って通勤する風潮はやめるべきともおっしゃっています。
なぜなら、風邪を治す特効薬はなく寝ることが一番薬だからです。
お医者さんと良い関係を築くことは健康寿命を延ばすための最善の策と思います。
そのためにも患者側も最低限の知識を付けておくことは重要です。
そういう意味で朝日新聞デジタルのアピタルは貴重な情報を提供してくれます。
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