令和2年(第70回)税理士試験のリアルな合格率は、13.11%その理由

本編

2020/12/18、第70回の税理士試験の合格発表がありました。

官報と同時に、今年の合格率などが発表されていましたので、私なりに少し分析してみたいと思います。

なお、出典はこちらになります。

こちらは、地域別の受験者数と合格者数のまとめになります。

一番下に、令和元年が比較として載っています。

下から2番目が令和2年度の結果です。

この表で重要なのは、この行だけなので、切り出します。

ある求人関係のブログ記事は、一番右のこの合格率を見て、「税理士試験の合格率は20%なので、合格率は上がっているので、チャンスです」などと書いていましたが、税理士試験の実態を表しているとは言い難いです。

なぜなら、この20%は、B/Aの割合だからです。

Aは、実際に受験をした人の数で、Bは、5科目合格者と一部科目合格者を合わせた数字になります。

そもそも、科目に合格しただけでは、何者でもありません。

なので、単純に20%という数字を見ただけでは、税理士試験の合格率は適切に示していませんし、この数字は何の意味も持っていません

なので、見ないといけないのは、科目ごとの合格率になります。

それが、こちらになります。

税理士試験を受験した方であれば、おなじみの色合いです。

私が10年前に税理士試験を受けていた時と色合いは変わっていないと言えます。

さて、税理士試験を分析する場合は、会計科目と税法科目に分けて考える必要があります。

それは、難易度が違うからです。

最近は、合格率が上昇傾向にありますが、以前の税理士試験は、簿記論や財務諸表論などの会計科目も税法科目も10%から高くても15%ぐらいの試験でした。

今回、会計科目の簿記論と財務諸表論の2つの合格率が突出しています。

特に簿記論に至っては、過去最高クラスの合格率(22.6%)になっています。

この理由は明白で、受験者数が年々減少している事に対して、国税庁が危機感を持っているからです。

税理士は5科目取得する事で獲得できる資格です。

そして、税理士にチャレンジする人の多くは、会計科目である簿記論と財務諸表論からチャレンジします。

いわゆる登竜門的な位置の試験です。

ちょうど、YouTubeで不動産鑑定士の試験について解説しましたが、不動産鑑定士の試験も似たような傾向になっています。

不動産鑑定士試験については、また別の機会にお話しするとして、今の税理士試験は、この不動産鑑定士試験に近い形になりつつある思います。

不動産鑑定士は、公認会計士試験と同じように、1次マークシート、2次が論文式の選抜方式の試験になります。

1次試験が30%ほどで、2次試験が15%ほどの合格率の試験になります。

税理士試験は、毎年下がる受験人数に対して、なんとか間口を広げるために、他の資格試験で1次試験にあたる簿記論と財務諸表論の合格率を高くしていると言えるのです。

全教科含めた合格者数のうち、簿記論と財務諸表論の会計科目の延合格者の割合は、64%(=4,059/6,357)です。

つまり合格率のカウントに入っている人の2/3は、会計科目の合格者と言えます。

この合格者の多くが、税法の試験に進んできます。

なので、少なくとも、税理士の難易度を示すための合格率は税法の合格率だけを抜き出す必要があります。

税法の延受験数17,520(C)

税法の延合格数2,298(D)

合格率D/C=13.11%

少なくとも、税法に絞った合格率は、13.11%になります。

しかも、この数字は、簿記論と財務諸表論を突破した人が数多く存在し、同じ科目を2年3年受けている人の中で、この割合の中に入らないといけない数字になります。

これが、税理士試験が難しいと言われる所以です。

2段階試験である選抜式の国家試験の2次試験の合格率は、数字以上に難しくなります

ちなみに、最難関資格の1つと言われる公認会計士試験の2次試験の合格率が35%ほどですが、簡単と聞いたことがあるでしょうか。

ないですよね。

税理士試験は、5科目合格という独自の試験システムから、実質的に2段階方式のような試験になっています。

5科目合格を狙う場合は、レベルの高い受験生の中で13.11%を3回突破する必要があります。

状況が全然違うので、本当に参考程度ですが、13.11%というのは、偏差値61に相当します。

偏差値61というのは、大学でいうと、京都府立大学、岡山大学、広島大学といった国公立大学レベルになります。

東進の大学入試偏差値一覧より引用

税法を1年に1つ受けるとして、毎年、偏差値61の大学に合格しても税法だけで3年掛かります。

しかも、その中には、浪人生もいるわけです。

今思うと、公認会計士にしても税理士にしても、こんな難しい試験に脱サラしてよく挑戦したなと思います。

私が受験した時は、ネットもそこまで発展していませんでした。

今は、ネットも発展して情報が溢れています。

逆に、正しい情報が何なのかが分かりにくくなっています。

そんな時は、会計人らしく数字で物事を判断すると良いかもしれませんよ。

 

編集後記

今日は、ご連絡いただいた大学生の方のコンサルをする予定です。

 

息子(3歳3ヶ月)の成長日記

ピザパーティーのことをピザパーピーといういうのが可愛いです。

違うよと言いますが、可愛いので直らなくてもいいかなとも思っています。

 

ヨガ日記

今日は、トータルボディートレーニングをしました。

30分の強度2(5段階)ですが、最後はひいひい言いながらついて行きました。

 

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