がんばる税っ!
みつばち会計事務所の丸山です。
私は税理士としての仕事の他に、税法大学院の入試コンサルタントをしています。
このコンサルでは、税金の判例を題材にして税法についての研究計画書というものを作るアドバイスを行っています。
そして、よく私がこのコンサルの中でよく使う判例の一つに通称、Adobe事件というものがあります。
これは、Adobeの日本法人が海外の子会社と行った取引について、国の税務調査が入り、その判断に納得のいかないAdobeの日本法人が起こした事件になります。
結果的には、第2審まで争った末にAdobeの日本法人が勝ち、税務調査による指摘が採用されなかった事件になります。
参考図書
藤枝純「独立企業間価格の意義ーアドビ事件ー」租税判例百選【第6版】p.140
東京高等裁判所 平成 20年 10月 30日 判決
税務署は何を見ていたのか
この事件で税務署が見ていたのは
利益率
になります。
利益率とは、
利益➗売上=利益率
のことです。
税務調査のきっかけになりやすいのは、
納税者がなんらかの行動を起こしたタイミング
になります。
なぜかというと、税務署には
通称KSK(国税総合管理)
と言われるデータベースを持っていて、毎年行う決算のデータはこのKSKに蓄積されていきます。
そのKSKがどうゆう仕組みになっているかは明らかにされていませんが、
間違いなく税務調査に活用されている
と考えらます。
そのKSKで異常値が出た会社に対して税務調査をしていけば手間が省けるというものです。
なので、
去年の利益率と今年の利益率が違っていたら
何かやってんじゃないのと感じた国があたりをつけてやってくることになります。
独立企業間価格
アドビ事件の争点は、
販売方法が変わったこと
に関して、その取引が
独立企業間価格で行われているか否か
というものでした。
独立企業間価格とは、他人と取引した場合の取引価格になります。
アドビはこの時、海外のグループ会社との取引について
購入・再販売
▼
役務提供
へと販売方法を変えたため
利益率は10%近く低下
しました。
その利益率の変化をきっかけに
税務調査に発展
したと考えられます。
つまり、税務署のKSKシステムがビンビン反応していたということになります。
移転価格税制
今回のケースは何も利益率が下がったから税務調査が来たというだけのものではありません。
そこには、明確な根拠が存在します。
それは、
海外に実質的な支配関係にある子会社がある場合
に適用される
移転価格税制
というものになります。
この移転価格税制の
対象になると判断された場合に限り
先ほど説明した
独立企業間価格
による取引が強制されるのです。
なので、国内の会社で子会社間の取引の際に大幅な値引きをして利益が少なくなったとしても適用されるわけではありません。
この法律はあくまで
国内の法人の利益が下がることで税金を不当に海外に逃がすことを防ぐ
ために作られたものになります。
国内の子会社間でどんなに値引きをしたとしても、最終的に国に納める税額は変わりませんからね。
まとめ
税務署は、毎年提出される決算書の利益の変化を見て税務調査をするか否かを決めています。
それは、KSKと言われる税務署のシステムを使って選別されます。
今回題材にしたアドビ事件で争点となった独立企業間価格とは他人と取引した場合の価格になり、移転価格税制とは子会社を使って国外に不当に利益を流すことを防ぐことを目的とした法律になります。
息子(2歳6ヶ月)の成長日記
昨日は家で巻き寿司をしました。
マグロとサーモンがありましたが、息子の好きなのは巻き寿司の具材としてで用意したお肉でした。
スキー検定2級持ち、現在1級挑戦中の税理士・行政書士です。
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