税理士のちょっとお得な話「夫婦間贈与が否定された事例」

本題

納税通信第3945号 税理士法人AIブレイン大井先生が執筆されている「争いになりやすい税務 裁判所審判所の判断は?」より一部引用

事案の概要

夫名義の預金を妻名義の証券口座に移し、妻が株式や投資信託を購入・運用していた事例です。

  • 2015年、夫の銀行口座から妻名義の証券口座へ資金を移動。

  • 妻は株式・投資信託を購入し、自分の判断で売買していた。

  • 配当金や分配金も妻名義の口座で受領。

  • 投資による所得は妻の所得として確定申告。

  • 2017年に夫が死亡。

  • 妻は夫の資金を原資とする有価証券を相続税申告から除外。

課税庁側は、夫から妻への贈与があったとして贈与税を課税しました。

国税不服審判所の判断

結論:夫から妻への贈与は成立していないと判断されました。

審判所が重視したのは、次の事実です。

  • 妻は夫の給与など家計全般の資金を以前から管理していた。

  • 夫名義の預金通帳なども妻が管理していた。

  • 株式や投資信託の売買は頻繁ではなかった。

  • 配当金等は妻名義の口座に入金されていたが、同口座から家計費の一部が支出されていた。

  • 妻が資金を自分のために使うには、夫から資金を必要としていたことについて説明を受け、了承される必要があった。

これらを総合的に判断し、妻が夫の財産を管理・運用していたにすぎず、妻が贈与によって経済的利益を取得したとは認められないとしました。

私の所見

課税庁側が負けた事例になります。

税金の裁決事例は課税庁側が勝つことが多いので珍しい裁決事例といえます。

課税庁側としては、夫婦生活で行われる生活費の資金移動ではなく、贈与と判断して課税を行ったものだと思います。

しかし、日本には基本的に夫婦の財布は同じものとする慣習が存在する中で、夫婦間では日常的に財産の管理や資金移動が行われるため、資金移動だけで贈与の成立を認定することはできないということです。

例えば、上記事例の妻が私的な目的で資金を頻繁に利用していたとなればもしかすると判断は変わっていたかもしれませんね。

上記の内容は、法律上の正確性を保証するものではありません。

あくまで、個人的な考察となりますので、もし、研究計画書や論文執筆の際の引用などには使用しないでください。

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丸山友幸(まるやまともゆき)
スキー検定1級持ち、現在テクニカル挑戦中の税理士・行政書士です。 前走の私が直接対応させていただきます!! 既婚で、8歳の男の子と4歳の女の子の父親です。 著書「研究計画書の書き方 Kindle版」発売中 よろしくお願いします。