本題
所長のミカタという税理士のための雑誌の1面は総則6項の基準のイマというテーマでした。
そもそも総則6項ですが、相続財産を評価するにあたってのルールを定めた法令解釈通達の総則について、「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」というものです。
いわゆる伝家の宝刀と言われるもので、相続税評価において税額の基準となる相続財産の価額がいくらになるのかが重要となるわけですが、その評価に著しく不適当な場合は、国税庁長官に委ねられるというものです。
例えるのであれば、泥棒が発生したとき、容疑者の処遇を警察庁長官の裁量で決定する場合が認めらえるようなことを意味するわけです。
それが、法律ではなく国税庁が各税務署に伝達する通達で定められている点については、また別の論点があるかと思います。
2025年9月号の1面では、この総則6項におけるその評価に著しく不適当な場合とはそのような基準で決定されるのかということがテーマとして取り上げられていました。
ページをめくって第2面には、3つの判例について事例を用いて解説が加えられていました。
タワマン節税
1つは2021年4月に判決が下されたタワマン節税についてである。
これが、総則6項関連の判決の第一弾だそうです。
この判決は最高裁まで続いたもので、高齢の被相続人が、節税対策としてマンション2棟を購入したもので、その申告に対して、当局が総則6項を適用して再評価したところ評価額の乖離が9億円となった事件である。
ここで最高裁で総則6項を適用した国側の主張が認められる判決が出された。
この判決が総則6項が適用において一つの基準になっていると言われる。
仙台薬局事件
もう一つの事例で紹介されているのが、24年8月に判決が下された仙台薬局事件である。
この事例では、自社株売却によるM&Aを進めていたところ相続が発生。
総則6項が適用されて裁判となった。
この際はその評価額に10倍もの差があったものの判決では、「一連のM&Aには租税回避行為の意図が認められない」として、納税者側の勝訴となっています。
自社株評価事件
地裁判決
25年1月に行われた地裁判決について、自社株評価において、評価方法をAで申告されたものについて、B方式で評価するべきとして総則6項の適用をめぐって争われた。
この際、A方式で評価するために相続直前において行われた新株発行によって相続税額が約49%減少したとして、いわゆる「持株外し」や「比準要素数1の会社外し」などと国側が指摘されたことによることであるものの、裁判所は「評価方法が異なれば、評価額に違いが生ずるのは当然」として納税者側が勝訴しました。
高裁判決
25年6月に行われた高裁判決では一転、国側が逆転勝訴した。
「持株外し」や「比準要素数1の会社外し」を税逃れと認定、総則6項を適用しても問題なしとされました。
これには、税逃れが認められるような物証が出てきたことが強く影響しているとされています。
「持株外し」や「比準要素数1の会社外し」などの自社株評価額の引き下げスキームについて、提案した証券会社との複数にわたる打ち合せメールの存在などが影響したとされます。
まとめ
相続税における大きな論点となる総則6項における裁判事例が紹介されている記事について紹介させていただきました。
相続税のテーマで研究計画書を書こうと考えている方は、1つ参考にしていただければと思います。
裁判というのは過去の裁判事例に影響を受けることがあります。
なので、裁判事例を時系列で縦方向に並べて見てみると繋がりが見えてくることもあると思います。
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息子&娘(8歳0ヶ月&4歳0ヶ月)の成長日記
息子のSwitchの左スティックのレバーのカバーが取れて、パワプロをする際のカーソルが左寄りになってしまう現象が発生していたので、メルカリで左スティックを買ってあげました。
新品のような水色の左スティックがきて、カーソルも中央に戻って、大谷とイチローだらけのチームを操作して楽しんでいました。

スキー検定1級持ち、現在テクニカル挑戦中の税理士・行政書士です。
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