配偶者控除-いつまで民法の規定に従うの?やっぱり日本では事実婚は不利!?-
以下の判例は、早川眞一郎(2016)「配偶者控除」『租税判例百選[第6版]』別冊ジュリ228号 ㈱有斐閣 p92-93を参照させて頂いています。
課題判決の概要
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この事件は、確定申告をしたAさんが事実婚である奥さんを配偶者控除に入れており、税務署に否認されたことに対して納得のいかないAさんが起こした裁判です。
結局、この判決では配偶者控除は認められませんでした。
この判決の主な論点は所得税法における「配偶者」とは何かというところになります。
課題判決の原文
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第1審(名古屋地判平成7・9・27税資213号694頁)は、「所得税法は、ここでいう『配偶者』について定義規定を置いていないが、身分関係の基本法たる民法は、婚姻の届出をすることによって婚姻の効力が生ずる旨を規定し(
739条1項)、そのような法律上の婚姻をした者を配偶者としている(
725条、
751条等)から、所得税法上『配偶者」についても、婚姻の届出をしたものを意味すると解すべきことになる」と述べて、事実上の配偶者については配偶者控除は適用されないとした。また、憲法および国際人権規約に違反するというAの主張をいずれもしりぞけた。すなわち、婚姻の方式として届出を要するという制度を設けていることには十分な合理性があり(
憲法24条違反ではない)、そのような制度をとっている以上、事実上の配偶者に配偶者控除が認められなくても不合理な差別ではなく(
憲法14条違反ではない)、また、配偶者控除を認めなくても直ちに健康で文化的な最低限度の生活を営むことができなくなるわけではなく(
憲法25条違反ではない)、さらに
国際人権規約(B規約)23条1項に≪事実上の婚姻による家族についても、婚姻の届出をした夫婦とその子と同じ地位を認めなければならない≫との趣旨が含まれていると解する事はできない」とした。
課題判決で否認された簡単な流れ
流れを確認する。(クリックすると開きます。)
①所得税法の「配偶者」は民法上の「配偶者」の借用概念
※借用概念とは、所得税の中で定義していない言葉なので、民法の概念を借りるということです。
↓
②民法上の「配偶者」は婚姻関係が前提
↓
③事実婚は「配偶者」とは言えない
↓
④「配偶者控除」は使えない
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次の動画では、配偶者控除の判例百選の読み方について解説しています。